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サイボウズ、ノジマ、ケンミン食品…有名企業が「インフレ手当」 課題は継続的賃上げにつながるかどうか

「インフレ手当」を導入した企業の狙いは?(イメージ)

「インフレ手当」を導入した企業の狙いは?(イメージ)

 物価の高騰が庶民の暮らしを圧迫するなか、一部企業では、従業員の生活を支えるため「異例の措置」を講じる動きが広がっている。

 デフレ不況のもとで「安定した物価上昇」を目標に掲げる日銀は、大規模な金融緩和政策を続けてきた。黒田東彦総裁は今なお政策を転換する姿勢を見せないが、足元では国内の物価上昇が止まらない。

 10月21日に総務省が発表した9月の消費者物価指数(生鮮食品を除く=コアCPI)は前年同月比3.0%上昇。品目別では、生鮮食品を除く食料が4.6%、電気・ガスなどのエネルギー関連が16.9%の上昇だった。いずれも政府・日銀が掲げる「2%物価上昇」の目標を大幅に上回っている。

 一方、厚労省がまとめた9月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、1人当たりの実質賃金は前年同月比マイナス1.3%と、6か月連続で減少した。現金給与総額は同2.1%増えたが、それ以上にインフレが進み、実質賃金が減る構図だ。「物価上昇に賃上げが追いつかない状況」が続く。

 帝国データバンクの調査によると、来年値上げを予定する食品はすでに2000品目を超え、来年2~3月をピークに値上げラッシュが再来する可能性が高いという。

士気を高める効果も

 物価高が家計を直撃するなか、一部企業では従業員の生活を支援するための「インフレ手当」導入の動きが始まっている。

 今年7月のボーナス支給時に、約190人の社員を対象に1万~5万円のインフレ手当を支給したのは、ビーフン製造大手のケンミン食品(神戸市)。同社広報担当が語る。

「日課のようにスーパーを訪れている当社社長が、食料品の価格がどんどん値上がりしている状況を目の当たりにし、『食品に加えて光熱費などの高騰が相次ぐなか、少しでも社員の生活を支援したい』と手当の支給を決定しました。支給を受けた社員からは『契約社員を含む全社員の生活に配慮してくれてありがたい』との声があがっています」

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