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鉄道150年と女性職員 給仕係、花嫁候補、労働基準法…時代に翻弄されたその歴史

女性駅員も今や当たり前になった(イメージ)

女性駅員も今や当たり前になった(イメージ)

 その日、東京・新橋の鉄道館に無数の万国旗がはためき、紅白の提灯が掲げられた。群衆が見守る中、煙を噴き上げた巨大な物体がのろのろと動き出すと、人々は「化け物だ」と恐れをなした──。

 1872(明治5)年10月14日、日本初の鉄道が新橋~横浜間で開業した。翌年には三代歌川広重が「東京汐留鉄道舘蒸汽車待合之図」で出発を待つ明治の人々をスケッチし、鉄道時代の幕開けを世に知らしめた。

 今年は、鉄道開業から150周年の記念イヤーだ。鉄道写真家の矢野直美さんが、鉄道の魅力を語る。

「鉄道は、ただ乗っているだけでも、その時間そのものが“旅”。車窓を流れる風景を楽しむことができるのはもちろん、駅のホームから車内に乗り込んでどこかに出かける人や、それを見送るすべての人にそれぞれの物語があり、その一つひとつに思いを巡らせることができます。

 飛行機は便利ですが、鉄道は目的地にゆっくりと向かい、ゆっくりと去っていく。目的地を楽しみにしたり、別れを惜しんだりする心の動きに、鉄道はいつでも、寄り添ってくれるのです」

 鉄道には、飛行機や車では味わえない旅情がある。近年は、鉄道と女性が表立ってかかわる機会も増えている。

「20年ほど前は“鉄道が好きな女の人なんて、いるはずがないだろう”と言われたものです。でも、いまは女性の鉄道ファンの存在は当たり前に受け入れられています。夫や子供の影響で鉄道が好きになって、家族で楽しんでいる女性も多い。また、女性車掌や女性運転士が増えて、女性にとって鉄道がますますなじみ深くなりました」(矢野さん)

 駅や電車内のアナウンスが“鼻声”なのは、一説では列車の運行する大きな音が響いていても聞き取りやすくするためだといわれている。男性よりも高い女性の声でのアナウンスが「なんとなく、いつもより聞きやすい」と思ったことがある人もいるだろう。

 だが、ずっと昔から、女性と鉄道のかかわりは続き、時代とともに移り変わっている。この150年、女性と鉄道はどんなレールの上を歩んできたのだろうか。

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