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米国で承認の認知症薬「レカネマブ」 日本での承認目指すエーザイの“再戦”と普及へのハードル

記者会見でアルツハイマー治療薬「レカネマブ」について語るエーザイの内藤晴夫最高経営責任者(時事通信フォト)

記者会見でアルツハイマー治療薬「レカネマブ」について語るエーザイの内藤晴夫最高経営責任者(時事通信フォト)

 米・食品医薬品局(FDA)は1月6日、エーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を迅速承認した。迅速承認は深刻な病気に対して治療効果が予測できれば、中間段階の臨床試験のデータでも使用を認める制度だ。

 レカネマブは、脳に溜まって認知症を引き起こす原因物質とされる「アミロイドβ」というたんぱく質を除去する効果があるとされる。昨年11月に発表された最終段階の治験(第3相臨床試験)では、日本や欧米の軽度認知症患者ら1795人を対象として、認知症の進行を27%抑えられたと報告されている。

 レカネマブの治験結果研究に関わった東京大学大学院医学系研究科の岩坪威教授(脳神経医学専攻)が解説する。

「軽症アルツハイマー型認知症と軽度認知障害(MCI)に対し、進行抑制効果を示すエビデンスが出ています。どこの審査機関の専門家も、有効性と安全性の評価は同様の科学的な基準で行なうと思いますので、今後、米国だけでなく日本でも順調に審査が進む可能性が高いと思います」

 エーザイの内藤晴夫CEOは、今回の迅速承認について『朝日新聞』(1月10日付)のインタビューで〈予想通りだったんですけど、なぜか涙が1滴出た〉と思いを語った。

 エーザイは2023年中の承認取得を目指しているという。“夢の認知症薬”がついに日本でも承認されるかもしれないのだ。

対象は「軽度患者」だけ

 期待が高まるが、岩坪教授は「課題も多く残されている」と語る。

 振り返れば、世界初の“夢の認知症治療薬”として注目されたのは、同じくエーザイとバイオジェンが開発した「アデュカヌマブ」だった。

 レカネマブ同様、治験でアミロイドβの減少が認められた同薬は、2021年6月に米国で迅速承認され、日本での承認にも期待が高まった。しかし、同12月に「治験データが不十分」とされ、販売承認申請が認められず、現在も継続審議中だ。

 今回のレカネマブについても米国で承認が先行した。その理由について岩坪教授はこう語る。

「アデュカヌマブが日本で承認されなかった主因は、第3相臨床治験のデータが不完全だったためですが、米国の『迅速承認』は、治療法のない難治性疾患の治療薬については完全に臨床効果のデータが揃う前でも有効性を予測できる検査結果などがあれば、仮の承認が与えられるという日本にはない制度です。そのため欧州や日本と比較して最初の承認が早かった」

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