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相続制度変更に対抗する生前贈与の4つのテクニック 「特例」をどう使うかが重要

 新聞や経済誌などでも大きく取り上げられ、2024年の新制度スタートが目前の今年は“駆け込み節税ができる最後の年”などと報じられている。

 しかし、そう単純な話ではない。改正のポイントを押さえていけば、制度変更後も得になる“裏ワザ”が見えてくる。

贈与の裏ワザ【1】孫への贈与は「課税強化」の対象外

 まず、同じ生前贈与でも「持ち戻し期間の延長」の対象範囲がどこまでかを知っておく必要がある。

「そもそも、亡くなる前3年の贈与が相続財産に加算されるのは、贈与を受けた人が子供など相続を受けた人である場合に限られます。遺言等で遺贈がなければ孫や、子供の配偶者へ亡くなる直前に贈与を行なっても相続税は課されない。持ち戻し期間が7年に延びても、これまで通り暦年贈与で節税効果を得られます」(岡野氏)

贈与の裏ワザ【2】使いやすくなった「相続時精算課税制度」の活用

 とはいえ、子供が独身などの理由で贈与する対象が限られる場合もある。そうしたなかで知っておきたいのが「相続時精算課税制度」の存在だ。

 この制度は累積で2500万円までの贈与をしても贈与税が発生せず、その代わりに相続が発生した際(親などが亡くなった際)に、それまで贈与された分も合わせて相続税が課されるというもの。これまでは暦年贈与にある年110万円の非課税枠がないうえに、手続きも煩雑だったことから利用する人はほとんどいなかった。

 今回の改正では相続時精算課税制度にも年110万円の基礎控除が設定され、これまでは必要だった少額の贈与の際の申告も不要になる方針だ。

「改正の目的は高齢世代の資産をできるだけ早く若い世代に移転させやすくすること。高齢世代から若い世代への贈与を促進する改正内容になるとみられています。総資産が相続税の基礎控除内に収まる人が、子供に大きなお金が必要になるタイミングで一度に贈与したい場合、年110万円を超えて贈与しても税金がかからないメリットがあるでしょう」(岡野氏)

 ただ、一部で「相続時精算課税制度は7年の持ち戻し期間の対象にならない」と報じられていることについて岡野氏は「同制度の持ち戻し期間がどうなるかは大綱に明記がなく、今後の法改正の審議を注視する必要がある」と付け加えた。

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