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田代尚機のチャイナ・リサーチ

BYDが日本市場に本格参入 中国自動車メーカーの輸出攻勢が始まった

日本でも発売開始となったBYDの電動SUV「ATTO 3」(Getty Images)

日本でも発売開始となったBYDの電動SUV「ATTO 3」(Getty Images)

 中国の自動車生産台数が日本を超えて世界最大となったのは2009年。その後も中国の勢いは止まらず、2021年の中国生産台数は、第3位となった日本の3.3倍に達している。第2位に順位を上げた米国と比べても、中国は2.8倍の規模であり、今や中国は圧倒的な生産能力を有する自動車大国である。

 もちろんそれは、国内市場の大きさに助けられている部分もある。これまで技術力、デザイン力ではまだ日米欧にはかなわない部分もあり、国際市場に限ればその存在はそれほど大きなものではなかった。しかし、2022年の最新統計によれば、輸出台数はついにドイツを抜き、日本に次ぐ第2位に順位を上げることが確実視されている。中国自動車産業の国際競争力は日本にとって大きな脅威となる水準に達している。

 中国自動車工業協会によれば、2022年の自動車輸出台数は54.4%増の311万1000台であったが、この急拡大を牽引したのは新エネルギー自動車であり、その輸出台数は前年と比べ2.2倍、67万9000台に達している。全体の輸出の22%が新エネルギー自動車である。

 国内生産全体に占める新エネルギー自動車の割合は26%であり、12月単月に限れば33%に達している。新エネルギー自動車の国内生産量が98%増加したことで全体の生産量は3%増へと引き上げられているが、この国内での急速な新エネルギー自動車への転換がそのまま輸出にも反映される形となっている。

 月次の自動車販売状況を追っていく限りでは、昨年5月に発表された総合景気対策によって、自動車の購入制限が緩和され、段階的に購入税減税が行われることなどが示され、長期戦略として実施されている新エネルギー自動車に対する優遇政策の効果が促進されたことなど、政策による後押しが業界全体の生産を促したと見て取れる。

 そうした観点からすると国家の産業政策、経済政策が産業発展の主要なエンジンとなっているようにみえるが、国家の役割はあくまで発展の後押しをしているに過ぎない。

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