田代尚機のチャイナ・リサーチ

BYDが日本市場に本格参入 中国自動車メーカーの輸出攻勢が始まった

BTDが日本市場に投入する電気自動車3車種(中央が1月31日に発売された「ATTO 3」。時事通信フォト)

BTDが日本市場に投入する電気自動車3車種(中央が1月31日に発売された「ATTO 3」。時事通信フォト)

BYDは2025年末までに日本の販売拠点を100店舗まで拡大

 この10年足らずの間に、蔚来集団(09866)、理想汽車(02015)、小鵬汽車(09868)といった新エネルギー自動車の生産に特化したベンチャー企業が設立され、資本市場を通じて資金調達を行い、自動車産業に大きな刺激を与えている。

 国内新エネルギー自動車生産台数でトップのBYD(01211)については、1995年設立と比較的古い企業だが、もともとはリチウム電池メーカーが前身である。その電池メーカーが新エネルギー自動車メーカーとして事業を発展させるといった明確な目標を定め、2003年に既存の自動車メーカーを買収し、この業界に参入した。

 この戦略的構想を、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が高く評価し、2008年には大株主として名を連ねている。決して発展の道のりは平坦ではなかったが、化石燃料自動車の生産で実績を積み上げつつ、どの企業よりも新エネルギー自動車への生産移行に積極的に取り組んだことで、昨年3月の段階で、化石燃料自動車生産から撤退、新エネルギー自動車専業メーカーへの転身を果たした。

 合弁先と協力しながら積極的に新エネルギー自動車への生産転換を進めている吉利汽車(00175)を含め、強烈なベンチャー精神を持つ後発の民営メーカーが業界全体を突き上げる形で中国を新エネルギー自動車大国へと押し上げている。

 BYDは2月1日、1月の販売データを発表、新車販売台数(すべて新エネルギー自動車)は15万1341台で前年同期比で62%増加した。海外での販売台数は1万409台で生産の7%が輸出に向けられている。競合他社とは異なり、海外企業と合弁事業を行っているわけではないので、現状の輸出比率は決して高くない。だが、国内市場は高成長が続いているとはいえ、競争も激しい。今後、BYDを含め、中国企業の輸出が急速に伸びる可能性は高いのではないか。

 BYDは1月31日、日本での個人向け電気自動車の販売を開始した。国内に20か所の正規ディーラーを設置、コンパクトSUVタイプの電気自動車「ATTO 3」の販売を開始した。基本モデルで440万円といった価格設定で、同クラスの電気自動車と比べると100万円程度安いようだ。同社は今後、2025年末までに日本国内の販売拠点を100店舗まで拡大する計画だ。

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