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「単なる民間登用ではない」日銀新総裁・植田和男氏“サプライズ起用”の舞台裏

2016年開催のG7財務相・中央銀行総裁会議のシンポジウム。植田和男氏(左から3番目)も参加していた(時事通信フォト)

2016年開催のG7財務相・中央銀行総裁会議のシンポジウム。植田和男氏(左から3番目)も参加していた(時事通信フォト)

日銀の内情をよく知る“日銀の人”

 政府の打診を固持し続けた雨宮氏に代わる人材として土壇場で浮上したのが、植田氏だったわけだ。

「植田氏は東大を卒業後、米マサチューセッツ工科大(MIT)を経て、東大経済学部長まで務めた経済学者。それゆえ“民間登用”のような印象もありますが、日銀の審議委員を7年務め、その前にも日銀の調査統計局に従事した経験を持つ。日銀内部の人間に言わせれば、日銀の内情をよく知る植田氏はあくまで“日銀の人”。単なる民間登用ではない」(同前)

 今回の人事について、多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏はこう分析する。

「植田氏はMITで世界的な経済学者であるスタンレー・フィッシャー氏の指導を受けた。その教え子にはFRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ元議長やECB(欧州中央銀行)のドラギ前総裁なども連なり、植田氏も伝統的な金融理論を身につけた経済学者で、かつ日銀の審議委員の経験もある。

 そこに国際経験が豊富で財務省出身の氷見野良三氏、そして日銀の政策運営を支えてきた内田氏の2人が副総裁となる新体制は、いま考え得るベストな布陣とも言えます。とはいえ、10年にわたる金融緩和政策をめぐる課題は山積しており、その舵取りは相当難しいものになるのは間違いないでしょう」

 植田日銀の船出はどうなるか──。(了)

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