吉田みく「誰にだって言い分があります」

バレンタイン「5000円のチョコ」で感じる“お返し”の負担 物価高時代に露見するカップルの金銭感覚の溝

物価高は恋人同士のイベントにも影を差す(イメージ)

物価高は恋人同士のイベントにも影を差す(イメージ)

 毎年恒例のバレンタインの時期が過ぎた。今年は原料となるカカオ価格の高騰や円安の影響による値上げが顕著だったという。帝国データバンクが全国の百貨店やショッピングモール、著名な洋菓子店などで売られている135のチョコレートブランドを対象にバレンタイン向け商品の価格を調査したところ、今シーズンは80ブランドで値上げが判明。平均価格はチョコレート1粒あたり390円(税込み)で、前年比約7%となる25円増となった。「本命チョコ」となると高額な出費になることもあるが、家計が苦しい中では、恋人たちの関係に“異変”が生じるケースもあるようだ。フリーライターの吉田みく氏がレポートする。

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 都内在住の会社員・アユミさん(仮名、30歳)は、バレンタインチョコがきっかけで交際相手との金銭感覚の違いに直面したという。アユミさんの月収は23万円、一人暮らしをしている。

「喜んでもらえると思って渡したバレンタインチョコでしたが、彼の心には響かなかったどころか、“無駄なもの”だったようです……」(アユミさん、以下同)

 2月、アユミさんはデパートのバレンタインフェアへ足を運び、3歳年上の彼氏に喜んでもらえそうなオシャレなチョコレートを選んだという。当初の予算は3000円だったが、予算内では納得がいくものが買えなかったため、最終的には5000円ほどの商品を購入。金銭的には厳しかったが、「彼の喜ぶ顔が見られるなら安い買い物だ」と思ったそうだ。

 しかし、バレンタイン前のデートで渡すと、反応は期待していたものではなく、あまり喜ばれなかったという。

「彼は『ありがとう。でもこれすごく高いよね?』と言い出しました。奮発した旨を伝えると、『気持ちは嬉しいけど……』と黙り込んでしまったんです。何が引っかかるのか気になったので、彼と話し合いをすることになりました」

 話し合いで分かったのは、男性が「チョコレート5000円分のお返し」を負担に感じていることだった。去年転職したという彼の月収は25万円。奨学金を返済しながら一人暮らしをしており、普段から金銭的な余裕はあまりなかったという。そのため、デートも質素なスタイルが通常で、共通の趣味であるゲームを、どちらかの自宅に集まって遊ぶことが圧倒的に多いそうだ。

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