楽天モバイルの三木谷浩史会長
三木谷浩史会長が率いる楽天モバイルと、同社が15%出資する米衛星モバイル通信会社・ASTスペースモバイルは4月23日、「日本国内で初めて、低軌道衛星を使った市販スマートフォン同士のビデオ通話に成功した」と発表した。国内では4月10日からKDDIが米スペースXと提携し、テキストメッセージがやり取りできる「au Starlink Direct」のサービスを開始したが、ASTを使う「Rakuten最強衛星サービス」は、ビデオ通話や動画の視聴も可能になる。開発競争が激化する衛星ビジネスについてジャーナリスト・大西康之氏がレポートする。
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楽天モバイルの三木谷浩史会長は、同日、都内で開いた記者会見では、2026年第四四半期(2026年10~12月)に国内で衛星モバイル・サービスを開始することも明らかにした。「面積カバー率100%」の衛星モバイルは「どこでもつながる」だけでなく、災害時に地上の基地局がダメージを負った際にも威力を発揮する。社員の安否確認や事業継続に役立つことから、三木谷会長は「法人で強い需要が見込め、政府関係のニーズも非常に強い」と語った。
「そちらの天気はどうですか」
「先ほどまで雨でしたが、今はあがっています」
23日の会見では、三木谷氏と福島県にいる楽天モバイルのスタッフが衛星モバイルでビデオ通話の実演をした。
「プレゼンの時間が早く進みすぎたので、衛星とのタイミングが合うか、ちょっとドキドキしました」
記者会見の後で、三木谷氏が打ち明けたように、今は軌道上を試験用の衛星が5基しかないので、周回している衛星が日本上空に来た時しか通信できない。しかし、ASTは2026年第四四半期までに50基の衛星を低軌道上に打ち上げる計画だ。1時間半で地球を一周する衛星が50基になると、日本全土がほぼ24時間、衛星のカバー対象になる。原理的に、面積カバー率は100%に到達する。