27歳の頃には“億り人”の仲間入りをしたという遠藤洋さん
トランプ関税ショックによる乱高下相場で損失を出し、投資なんかしなければよかった……という気持ちになっている人もいるかもしれない。しかし、株式投資で億超えの資産を築いた“億り人”も失敗を経験してきたという。『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』(ダイヤモンド社刊)著者の遠藤洋さんも失敗から投資をスタートさせたひとり。一体どのような道のりがあったのか、話を聞いた。
大学時代のFXでの「失敗」からのスタート
著書は6冊を数え、「1年以内に株価3倍以上になる小型株」へ集中投資するスタイルで、最大年間利回りプラス600%、1銘柄の最大投資益プラス1760%達成といった実績を持つ遠藤さんだが、投資歴は「失敗」からのスタートだったという。
「投資を始めたのは大学時代です。最初はFXを始めました。大学の夏休みが暇で、時間つぶしになってお金を稼げることはないかなと。バイトは普通だし、あまり面白くない。“じゃあ投資をやってみよう!”という軽い気持ちでした。当時の貯金30万円でスタート。“ドル円って聞いたことあるから、とりあえず数字の10を入れてボタンを押して……”といった感じで、本当に何も知らない学生でした。
実は、その“数字”の単位が『万ドル』だったんです。当時50倍までレバレッジをかけられる時代だったので、30万円でいきなり10万ドルを買ってしまった。当時の為替レートで約1200万円ですから、もうあり得ない暴挙です。そういう感じだったので、あっという間にお金は無くなりました。大学生にとって30万円は大金です。ショックは受けましたが、今では早いうちに失敗を経験できてよかったなと思っています」(「」内は遠藤さん、以下同)
株式投資は「プラスサムゲーム」になり得る
その失敗を反省し、勉強してから投資に取り組むことにした遠藤さん。資産を増やすにはFXよりも株式投資が最適だと気づき、まずは分散投資に取り組んだという。
「FXは実はゼロサムゲームで、みながパイを奪い合っている。しかし、ある投資本を読んだとき、株は銘柄がちゃんと成長すれば、みながハッピーになれるプラスサムゲームになり得る唯一のものだという旨の内容が書いてありました。“なるほど!”と思った私は、分散投資をスタート。有名企業の銘柄もいくつか保有しました。しかし、こちらの銘柄が上がったら、あちらの銘柄が下がるといった具合に、可もなく不可もなくという結果になりしっくりこなかった。分散投資ってなんかイマイチだなぁと感じながら社会人になりました」
ベンチャー企業に入社し、多忙ななかでさまざまな経験を重ねていく。仕事のために各種情報へのアンテナを高くするなかで、世の中にはこれから話題になりそうな“面白い企業”がたくさんあることを知った。
「そこで分散ではなく、これから話題になりそうな企業の株を中心に買ったら面白そうだなと思ったんです。大学時代から続けた投資の勉強と、社会人で得た知見が結びついたイメージです。その後、甘い言葉に惑わされて怪しい投資などで大きなお金を失ったこともありますが、失敗を糧にしつつ、着実に資産を増やせました」
大学卒業時に100万円ほどに増えていた株式投資による資産は、会社員を4年続けて退職した時には数千万円になっていたという。27歳の頃には“億り人”の仲間入りをした。
「独立して事業を立ち上げてからは、経営者として世の中を見るようになり、社会や企業を見る解像度が上がりました。“小型株集中投資”という自分の投資スタイルが固まっていったのもこの頃です」