国民民主党代表の玉木雄一郎氏(左)と楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏が緊急対談
国民民主党代表の玉木雄一郎氏(56)と楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏(60)。ともに政界、財界で既得権益の「壁」を壊そうと行動し、それゆえに強い“逆風”に晒される局面も目立つ。そんな2人が初対談。コメ高騰、減税、働き方から地方自治にいたるまで日本が抱える問題点について、ジャーナリスト・大西康之氏を聞き手に激論を交わした。
本誌・週刊ポスト6月27日発売号に掲載予定の対談は、高騰するコメ価格の問題についての議論からスタート。三木谷氏は「楽天で販売した政府備蓄米は5kg袋1万個が1分で完売」とその反響を語り、利益にはならないが、「ネットで売ったほうがリアルの店頭に並べるより消費者に早く届く」ことから販売に乗り出しのだと明かした。
一方の玉木氏は、小泉進次郎・農水相の政策に一定の評価をしたうえで、「農協や卸が悪いといった犯人探しになるのが心配。問題は自民党農政にある」と指摘。作況指数や需要予測の精度の低さ、補助金政策の歪みの問題があるとして、「国はコメの需給調整・価格調整から手を引くべき」と強調した。そして「農業を続けられる所得を国が直接補償するヨーロッパ型の直接支払い制度への切り替え」が必要と論じた。
農業改革について、三木谷氏は「AI(人工知能)やオートメーションを進めるには農業の法人化が必要」と提案。これに対して玉木氏も「価格維持を目的とした『(量を)作るな』という政策がイノベーションを阻んできた」と応じ、価格政策から所得政策へと政策転換を訴えた。
働き方改革をめぐって意見を戦わせる一幕も
話題が経済政策に移ると、玉木氏は「今だといくら働いても税負担や社会保障負担が大きくて手取りが増えない」「税収が上振れ、つまり予定よりも多くて税金が余っているなら、減税で国民に返すべきです」と主張。三木谷氏は、「楽天モバイルの参入で携帯料金は家族で月2万円下がった」と“既得権の壁”を打ち破った同社の成果を示しつつ、「最大の問題は(日本経済が)成長していないこと」と語った。そのうえで、「問題は“働き方改革”という労働制限。働ける人が働けない今の制度は成長を阻む」と批判。これに対して玉木氏は、「働きがいと働きやすさの二軸が必要」と応じ、両者が意見を戦わせる一幕もあった。
そこから日本が抱える労働力不足の問題にも話題は及んだ。三木谷氏は「現実的に外国人との共生なしに成長はない」と述べ、「移民」という言葉を避けてきた日本の政治家の姿勢を批判。玉木氏も高度人材の受け入れの必要性を説き、「国が予算も人もちゃんとつけて、外国人共生の体制を整えないといけない」と応じた。
マネーポストWEBでは、週刊ポスト掲載に先立って今回の対談の完全版記事『【1万字超ロング対談】国民民主・玉木雄一郎代表×楽天グループ・三木谷浩史会長が激論「既得権の“壁”を壊せ」』を、先行全文公開している。コメ高騰、減税、働き方改革への両者の見解から地方自治にいたるまで、本音をぶつけ合った。そして、支持率が急落している国民民主党の玉木氏に対して三木谷氏が求めた“注文”とは──これらを詳しく報じている。