*12:06JST 三井松島HD Research Memo(6):石炭事業に代わる安定的な事業ポートフォリオの構築が進む
■三井松島ホールディングス<1518>の業績動向
1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比21.8%減の60,574百万円、営業利益が同69.7%減の7,615百万円、経常利益が同67.5%減の8,448百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同42.8%減の8,645百万円となった。売上高は、ジャパン・チェーン・ホールディングス及びエム・アール・エフの子会社化が寄与した一方、主力事業の1つであった石炭事業の終了により全体として減収となった。営業利益は、売上高と同様に石炭事業の終了が影響し減益となった。
2025年3月期において、同社はM&A投資を中心とする成長戦略を着実に実行した。2024年7月には、事業者向け不動産担保融資を主たる業務とするエム・アール・エフを子会社化し、金融事業分野への事業基盤拡張を進めた。また2024年8月には、M&A活動をさらに拡充・発展させる目的で、MM Investmentsにおいて上場株式投資を開始している。これらの取り組みは、同社のポートフォリオ多様化と持続的成長の土台強化に寄与するものと位置付けられる。また、豪州におけるリデル炭鉱の権益については、2024年11月にGlencore Coal Pty Limitedへ譲渡した。該当炭鉱は既に生産を終了しており、その権益譲渡によって特別利益として2,720百万円を計上している。
同社にとって、2025年3月期は大きな転機となる期であった。石炭事業からの撤退が完了したことにより、新たな収益基盤の確立に向けた構造転換を進めてきたが、結果としてその歩みは当初想定よりも速いスピードで進展し、収益の柱となる事業が短期間で整った。特に、ジャパン・チェーン・ホールディングス及びエム・アール・エフという大型M&A案件が大きく寄与しており、今後は祖業からの収益構造の転換が加速していくと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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