葬儀のかたちは元気なうちに決めておく(写真:イメージマート)
人生100年時代の今、定年後の選択を間違えると、その後何十年にもわたって苦しい生活が続く一方、正しい決断をすれば充実の後半生が待っている。そして人生最後に待つのは葬儀だが、残された家族のための正しい選択とは──。
一般葬か簡易葬か
近年、田舎の墓をしまって永代供養の樹木葬や納骨堂に改葬するケースが増えているが、墓と同じく葬儀のあり方も大きく変わってきている。親や親族の葬儀はもちろん、「自分の時にどうするか」を元気なうちに決めておくことは、家族だけでなく自身の安心にも繋がる。佐藤葬祭代表の佐藤信顕氏が語る。
「注意したいのが葬儀業者の選定です。最近ネットなどでよく目にする格安の簡易葬を謳う業者は苦情が少なくない。『家族葬30万円』とあったのに、フタを開けたら最終的に150万円請求されたといったケース。この手の業者は格安の値段に釣られた客を捕まえて、なんだかんだと値段を釣り上げる“アップセル”と言われる営業スタイル。死後、忙しいなかで判断力が鈍って“もういいや”と契約してしまう人も多い」
正しい業者の選び方について佐藤氏はこうアドバイスする。
「まずはあまりに安すぎる値段を提示してこないこと。ネットの格安業者には実店舗が無いケースが多いので、実店舗があることもポイントです。何よりも長年口コミで地域の葬儀を執り行なってきた葬儀社は外れが少ないでしょう」
葬儀の形式にも注意点がある。コロナ禍以降、葬式は近親者のみで行なう「家族葬」が主流となったがそれとともにトラブルが目立つという。
「家族葬に呼ばれなかった親戚が後日、不満を伝えて関係が壊れることがよくある。葬儀は残された人のための儀式であり、親族の気持ちも考慮しないと大失敗します。親族との関係で少しでも不安があるのであれば、手間は増えますが一般葬を選択肢として用意しておきましょう」(佐藤氏)
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※週刊ポスト2025年8月15・22日号