購入を取り消しできるのか(写真:イメージマート)
認知症の家族が意思能力のない状態で契約については、後から無効にできるケースがある。では「返品不可」と予め告知されていたテレビショッピングの場合はどうか。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
母は認知症。テレビショッピングに電話し、健康器具を購入したようです。その商品が届いても本人は覚えておらず、私が支払いを済ませたのですが、放送内で返品・返金には応じられないとのテロップがあり、先方に確認するとクーリングオフも適用されませんと拒否。この場合、諦めなければいけませんか。
【回答】
テレビショッピングは、通信販売の一種です。「通信販売」とは、販売業者が郵便や電話、ネット等によって売買契約の申込みを受けて行なう商品や権利の販売のこと。
通信販売には、クーリングオフ制度がありません。しかし、類似の扱いがあります。それは消費者が商品の引渡しを受けた日から数えて8日以内なら、事業者に対し、契約申込みの撤回や解除(撤回等)ができます。クーリングオフでは、商品の引取りは業者負担ですが、通信販売の撤回等の場合は、消費者の送料負担で返品することが必要です。しかも通信販売では、予め事業者が広告で、この撤回等につき、返品を認めないとの特約を表示していれば、費用負担でも返せないことになっています。