「使えるお金の見える化」をどう実践するか(写真:イメージマート)
老後生活を不安なく暮らすために重要なのは「お金」だが、使わずに死んでしまったらもったいない。ファイナンシャルプランナーの大割克美氏が語る。
「健康な状態で日常生活を送ることができる『健康寿命』は男性が平均72.57歳です(厚生労働省令和4年「平均寿命と健康寿命の推移」)。それまでにいかにお金を上手に使うかが老後の幸せを左右します」
趣味や娯楽に有意義にお金を使うことができれば、人生後半戦は一層豊かなものになる。そのために大切なのが、銀行預金通帳を用いた「使えるお金の見える化」だと大割氏は言う。
「固定費見直しのタイミングで預金口座もスリムにしましょう。口座を10個も持っている人がいますが、シンプルに3つにします。年金が振り込まれる『年金用』、給料が振り込まれる『仕事用』、趣味のための『お楽しみ用』です。これらの口座の通帳をうまく活用し、使えるお金を試算する」
特にお楽しみ用通帳の活用が重要だという。
「保険の解約などで浮いたお金は“使ったつもり”で半額をお楽しみ用の口座に入れます。例えば月5万円が浮いたなら、2万5000円をお楽しみ用に積み立てる。すぐに生活費に回すのではなく、もともとなかったお金としてその半額を貯めていきます」(大割氏)
こうしてお楽しみ用に貯まったお金は、遠慮なく遊興費として使っていい。
「お楽しみ用のお金は一気に使うのがお勧めです。例えば年に一度は夫婦で旅行のために20万円を使うとか、高級レストランに行って思う存分グルメを楽しむとか、自分たちの趣味にお金をパッと使うことです。
特に70代以降は健康の問題があり、遠出が難しくなったりする。ケチケチせず動けるうちに好きなことに使うための口座です。怪我や病気で急に働けなくなったなど、もしもの時にも活用できます」(同前)
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※週刊ポスト2025年10月10日号