津田塾大学・情報科学科の“定員割れ”は何を意味するのか(時事通信フォト)
2025年の津田塾大学の情報科学科の入学者数が定員を下回ったことが注目を集めている。受験や教育について取材するノンフィクションライター・杉浦由美子氏によれば、背景にあるのは少子化や女子大の人気低下だけではなく、大学の定員充足率も影響しているのではないか、と分析する。どういうことか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題の杉浦由美子氏が解説する。
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2025年の津田塾大学の情報科学科の入学者が定員45人に対して入学者41人であった。「女子大の危機」が大きく報じられる流れの中での発表だったので、「ついに津田塾も定員割れか!」と煽るようなSNSでの投稿もあった。しかし、この定員割れは志願者が少なかったからではないだろう。津田塾の情報学科の入学者は2024年が51人、2023年が63人と明らかに定員オーバー気味だった。それを調整する目的で2025年は合格者を絞りこんだのではないか、と推測される。
今、大学がもっとも頭を悩ませているのがこの「定員充足率」をどう調整するかだ。定員より学生が多すぎても少なすぎてもいけない。
なぜなら、オーバーしても、少なくても国からの補助金がカットされることになるからだ。
まずは定員オーバーの場合を見てみよう。代々木ゼミナール・教育情報センター教育情報室の木戸葵氏が、次のように解説する。
「収容定員超過率の基準は2023年から段階的に厳しくなってきております。2025年度からは定員8000人以上の大学の場合、充足率が1.1倍以上だと補助金が交付されません」
ここでいう定員は1年から4年(6年制大学なら6年間)の学生数だ。たとえば8000人規模の大学なら、8800人(定員の1.1倍)を超える学生を抱えると補助金が支払われなくなる。つまり、定員40人の学科があって、44人以上が入学してくるということが20学科で起こると、補助金が得られないということだ。一般選抜の場合、合格者のうち何人が入学するかは予想が難しく、定員オーバーにならないための調整は簡単ではないはずだ。
