“完済後”の過払い金請求はいつまで有効か(イラスト/大野文彰)
法律で定められている上限よりも多く支払っていた利息である「過払い金」。その返還請求をするには、どのような条件があるのか。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
過去にクレジットカードでキャッシングをしました。すでに完済していますが、過払い金請求に関するテレビCMを見るたびに気になっています。
過払い金は本当にクレジットカード会社に請求できるのでしょうか。請求できる条件や請求方法を教えてください。(滋賀県・57才女性・パート)
【回答】
キャッシングには利息制限法が適用され、利息の上限が年利で元本10万円未満で20%、10万円以上100万円未満で18%、100万円以上で15%と制限されています。
支払利息のうち制限を超える金額は貸主の不当利得となるため、借主は返還請求できます。
クレジットカードで行うキャッシングの契約形態は一概に言えませんが、一定の枠の範囲で繰り返し借入れ、毎月、元利金を返済していく方法が大半です。
もし約束の利率が制限利息を超過していれば、利息分の支払いのうち制限超過額は、支払い時点の残元本の弁済に充当されます(引き直し計算)。しかし、取引継続中の支払いは約束の利率で計算されています。これを引き直し計算すると、元本は表面上の金額よりも減り、当然利息も少なくなります。
つまり、長期に高い利息を支払っていると元本は減っていき、ついには元本ゼロになって、過払いした利息分が丸々残ることになりますので、この過払い利息の返還を求めることができるのです。
