相手に伝わる言葉はどのように考えればよいか?
内容は良いはずなのに、相手に見てもらえない、読んでもらえない、選んでもらえない――。原因は中身ではなく、タイトルや見出し、キャッチコピーなど相手が中身より前に目にする「最初の言葉」にあるかもしれない。Webメディア編集者として7000本超の記事タイトルを考案し、数万本のデータを分析してきた武政秀明氏の著書『22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください』より、相手に「伝わる言葉」の選び方について解説する。
「伝わる」とは何か?
私が考える「伝わる」は、相手にその物事をイメージしてもらって、心を動かしたり、行動に移してもらうことです。
そのためには、相手との「共通言語」、つまり、相手と自分が同じように理解している言葉を使い、相手の「共感」を呼び起こさなければなりません。
いや、みんな日本語を使っているんだから、わからないわけはないでしょう、と思うかもしれませんが、つい使ってしまう言葉の中には、あなたの周りだけで使われる言葉もあるかもしれないですし、理解できてもそもそも目にとまらない言葉もあります。そうした言葉は、伝わる前にスルーされてしまうのです。
たとえば、次の文を読んでください。
「アルムナイ採用を積極的に考えているんだけど」
「アルムナイ採用」とは、最近、人事分野でよく使われる言葉です。「アルムナイ」の意味は「定年退職者」以外の「退職者」。したがって「アルムナイ採用」とは、「一度退職した人にもう一度働いてもらう」ということです。
だったら、「一度、退職した人にもう一度働いてもらえるようにしたいんだけど」と言ってもらえれば、誰でもわかります。
