「いきなり!ステーキ」の次世代型新店舗・神田北口店(プレスリリースより)
「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスの2025年12月期業績は、売上高141億円、営業利益1100万円を見込んでいるものの、純利益は9000万円の赤字予想。2019年頃から業績不振が続いていたが、2024年度に黒字転換を果たし、そのまま業績が拡大するかと思いきや、なかなか一筋縄ではいかないようだ。そうしたなか、従来の「いきなり!ステーキ」のイメージを覆す次世代型新店舗(神田北口店)が登場し、注目を集めている。そこで試されている新しいビジネスモデルとはどのようなものか。イトモス研究所所長・小倉健一氏が解き明かす。
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東京・神田の駅前、かつては肉が焼ける煙と脂の匂いが充満していた場所に、ガラス張りの洗練された店舗が現れた。実際に新店舗に足を運んでみたが、以前のような立食形式の狭苦しさはない。ただ、「ゆったりした」という印象を持つのは、かつての殺伐とした立ち食い時代を知る者だけかもしれない。客観的に見れば、ごく「ふつうのステーキレストラン」に近づいたという感覚だ。
看板には見慣れた「いきなり!ステーキ」の文字があるが、店内の壁を見渡しても、象徴的だった創業者の大きな写真ポスターが見当たらない。最も驚くべき変化は、席の数である。以前の同じ規模の店なら50席は詰め込んでいただろう空間に、わずか38席しか用意されていない。常識的に考えれば、席を減らすことは売上の減少を意味する。しかし、運営会社であるペッパーフードサービスは、あえてこの「減席」という道を選んだ。
ITメディア ビジネスオンラインの記事「『いきなり!ステーキ』はどこへ向かうのか 焼き台をなくした新店舗に、創業者ポスターがなかった理由」(2025年1月11日配信)の中で、一瀬健作社長は次のように語っている。
「新店舗では厨房スペースを広くして、客席もゆったりとした設計にしました。従来型の店舗であれば、50席ほどを確保できますが、この店では38席。(中略)以前と同じ金額を使っているにもかかわらず、食べる量が減っている。こうした背景を踏まえると、店舗の空間を重視する必要があるのではないか。満足度を高めるためにも、新店舗では『ゆとりのある席の設計』を採用しました。(中略)新店舗ではオーブンを設置して、DXを導入しました。効率を高めることで、稼働率を100%にできれば、どうなるか。38席なので、従来店と変わらない収益を見込めるのではないか」
