理不尽なクレームにうんざり…(イラスト/大野文彰)
社会的な問題となっているカスタマーハラスメント。中には継続的に同じ飲食店にクレームを入れ、料金を値切ってくるケースもあるという。こういった場合、どのように対処すればよいのだろうか。実際の相談に回答する形で、竹下正己弁護士が解説する。
【相談】
家族で飲食店を営んでいます。1年ほど前、客の男性Aから「料理に髪の毛が入っている」とクレームがあり、謝罪しても怒りが収まらない様子だったので代金を半額にしました。
それからAはよく来店するようになり、月に1~2回は「料理に虫が入っている」などと嘘のクレームをつけて飲食代を値切ります。このような客に対して、どのように対処したらよいでしょうか。(群馬県・女性・55才・自営業)
【回答】
まずその客の来店を断ることが考えられます。病人を拒めない医師、宿泊客の受け入れ義務があるホテルと違って、飲食店は客を受け入れる義務はなく、客を選んでも問題ありません。とはいえ、いきなりこのような強硬策を取るとほかの客の反感を買うかもしれません。けんかになってけがをする心配もあります。昨今、理不尽なクレームで事業者を困らせる客の行動がカスタマーハラスメント(カスハラ)として社会問題になっており、各自治体でもカスハラ防止条例を制定して事業主に対応を求めています。
カスハラとは、客から店への著しい迷惑行為で就業環境を悪化させることです。著しい迷惑行為には、暴力や脅迫、名誉毀損などの違法行為のほかに、正当な理由がない場合はもちろんですが、理由があっても不相当な過度な要求や暴言なども含まれます。
例えば、執拗に責め立てて金銭を要求したり、声を荒らげて威圧する、必要以上に長時間にわたって厳しく叱責するなどの行為です。その客の言うクレームの真偽は別としても、店が謝罪するなど誠実な対応をしても不相当な利益を得るまで許さず、苛烈な叱責を執拗に繰り返し、対応する者が身体的・精神的に苦痛を感じ、業務ができない恐れがあれば、その客の行為はカスハラです。
