なぜ定員充足率が26.4%となったのか(武雄アジア大学の公式サイトより)
私立大学の半数以上が定員割れとなっている一方で、新設大学も開校している。そのうちの一つ、佐賀・武雄アジア大学は、定員充足率が26.4%だったことで話題になっている。その背景には何があるのか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【前後編の後編。前編から読む】
2026年新規開校の5大学のうち3校は定員充足
佐賀県の武雄市に2026年に開校した武雄アジア大学の定員充足率が話題になっている。4月の入学式の時点で、定員140人に対して、入学式の時点での一期生は37人。充足率は26.4%。これに対して「どうして少子化で私大の6割が定員割れしているのに新しい大学を作るのか」という声が上がっていた。
この「なぜ新規の大学ができていくのか」の理由として、前回記事では「制度上、条件をクリアしていれば国は認可する」ということに言及した。ここで、もうひとつ疑問が生じる。国が認可するとしても、そもそも「学生が集まりそうもない」大学の開校を申請する組織があるのはなぜか。
2026年に開校した大学は5つ。そのうち3つの大阪医療大学、西日本看護医療大学、福岡国際音楽大学は、ほぼ定員を満たしていると報じられている。
たとえば、福岡県太宰府市の福岡国際音楽大学は、「福岡県内に音楽大学がないから作ろう」という意図で新設された。福岡は今でも年間の出生数が3万人を超える。このぐらいの規模の都市ならば、音楽大学に進学志望の高校生は一定数いて、その中には地元の大学への進学を志望する学生もいるだろう。
一方、武雄アジア大学がある佐賀県は出生数が2024年で4824人と公表されている。佐賀県には大学が2つしかなく、国立の佐賀大学の定員が1300人。私立の西九州大学は看護師や小学校教員、保育士などの専門職養成の学部学科を中心としている。確実にニーズがある分野だが、定員充足率は2024年度で84.2%。基準に満たず、補助金カットの対象になっている。
そういった佐賀県で新しい大学、しかも経営学系の学部のみで学生は集まるのだろうか。教育ジャーナリストの石原賢一さんは、「武雄市は福岡に近い場所にあるので、学生は福岡の大学に進学する傾向が高いです」と、地元の学生が集まりにくい懸念を指摘する。
福岡の既存の大学なら、実績があり、教育の内容や就職支援の実績も把握できるため、受験生にとって安心材料となるだろう。こういった事情から、武雄アジア大学の開校は「大丈夫なのか?」という地元の声もあった。
