「お金の正体」とは何か?(国山ハセン氏)
投資でリターンを高めるには、「元手」「利回り」「時間」が欠かせない。だが、元手を増やすうえで本当に重要なのは、株や投資信託の知識だけではない。自分自身の稼ぐ力、つまり「自分資産」を磨くことも大事だという。さらに、お金のプロたちが重視していた最強の自己投資は、意外にも「健康」「睡眠」「散歩」という身近な習慣だった――。著書『投資初心者の僕がプロたちから学んだ、正しいお金の増やし方』が話題の元TBSアナウンサー・国山ハセン氏が、投資の専門家のアドバイスを踏まえて、自己投資について解説する。【第3回】
目次
「お金持ち」への道は、2つしかない
投資の世界では、リターンは「元手×利回り×時間」で決まります。
たとえば年率5%の利回りでも、元手が10万円なら年間5000円しか増えません。しかし、これが100万円なら5万円、1000万円なら50万円。同じ運用をしても、スタートラインの違いだけでリターンは10倍にも100倍にも跳ね上がるのです。
つまり、投資で結果を出したいなら、「どれだけ元手を大きくできるか」も大事な視点になる。では、どうすれば「元手を増やす力」、つまり「稼ぐ力」は高まるのか。
その力の正体を教えてくれたのが、農林中金バリューインベストメンツの最高投資責任者(CIO)、奥野一成さんです。ご本人は謙遜されていましたが、長期投資の第一人者であり、運用総額は数千億円規模の凄腕の投資家です。
「お金を増やすためにはどうすればいいのか」「稼ぐ力を高めるには?」「そもそもお金って何?」
みなさんならこういう風に聞かれて何と答えますか? 正直、僕はちょっと考え込んでしまいます。
でも、奧野さんの答えは非常に明快。お金の正体とは「誰かを喜ばせた結果として受け取る『ありがとう』の印(しるし)である」というものです。
これを僕自身の仕事に当てはめてみましょう。フリーアナウンサーとして番組の進行やイベントの司会を務める際、僕の役割は単に用意された原稿を読み上げることではありません。出演者の本音を引き出し、複雑な議論を整理し、客観的な視点を交えて「納得」や「発見」を生んでいく。視聴者や観覧している方々に「見てよかった」「腑に落ちた」と感じてもらう。その満足感の対価こそが、僕にとっての「ありがとう」であり、お金の源泉です。
これはどんな仕事でも同じです。誰かの困っている問題を解決するから、その対価として「ありがとう(お金)」が入ってくる。これこそが、奧野さんが唱える資本主義社会における「お金の正体」なのです。
この「お金=ありがとうの印」で考えたとき、私たちが「資産を増やす方法」は論理的に2つしかありません。
1つ目は、自分自身が働いて「ありがとう」を集めること。つまり、自分のスキルや能力を高めて、労働市場での価値を上げることです。これを奥野さんは「自分資産(人的資本)」と呼んでいます。スキルを身につけ、経験を積み、「あなたのおかげで助かった」という感謝をたくさん集められる人材になる。これが「自分資産」を大きく、結果として「元手」を増やす道です。
そして、もう1つの道。それは他人が集めた「ありがとう」の一部を受け取ることです。他人が集めてきた「ありがとう(利益)」を勝手に横取りしたら、それは泥棒です。しかし、合法的にその「ありがとう」の一部を分けてもらう方法がある。それが「株主になる」こと。つまり、「株式投資」です。
株を買うということは、単に値上がり益を狙うギャンブルではありません。その会社の「オーナーの1 人」になるということです。企業が、顧客の課題を解決し、たくさんの「ありがとう」を集めてくる。そしてその利益の一部が、オーナーである自分にも還元される。
自分が汗をかいて稼ぐ(自分資産)か、すばらしい企業に働いてもらって稼ぐ(金融資産)か。形は違えども、どちらも「誰かを幸せにした対価」であることに変わりはないのです。
