カフェで顔認証をする利用者。顔認証は、回数券の本人確認に使われる。写真提供:東急
東急株式会社(以下、東急)は、東京都内のカフェで、顔認証を活用するサービスの実証実験を行っている。期間は本年(2026年)の4月1日から6月30日までの3ヶ月間だ。事前に顔認証情報と回数券を紐づければ、ポケットやカバンから財布やスマートフォンなどを取り出さなくてもコーヒーを受け取れる。同社は、なぜこの実証実験をすることになったのか。その理由と背景を、交通技術解説者・川辺謙一氏が解説する。
顔認証の実証実験の場になった「PARK COFFEE」。東京の大井町エリアのコミュニティ形成拠点を目指すカフェとして開業。写真提供:東急
なぜカフェに顔認証を導入したのか
冒頭で紹介した東急は、東急電鉄などを含む東急グループの事業持株会社だ。デジタルによるお客様の体験向上施策として、今回の顔認証の取り組みを実施している。
顔認証を導入したカフェは、品川区の大井町にある「PARK COFFEE(パークコーヒー)」だ。これは、東急が大井町エリアで2021年に開業したカフェで、JR東日本と東急電鉄の大井町駅から徒歩2分の場所にある。
先述した顔認証の実証実験は、コーヒーをより手軽に購入できる体験を提供・検証するものだ。利用者は、カフェの店頭で顔認証専用回数券(Mサイズドリンク12杯分、ハンドドリップと限定ドリンクを除く)を購入し、回数券と顔認証用情報を連携させる。その後は回数券を利用する旨をスタッフに伝え、提示された端末で顔認証を完了すると、回数券を提示することなくコーヒーを受け取ることができる。
なぜ「PARK COFFEE」を実証実験の場に選んだのか。東急によると、非常に親和性が高い店舗だからだそうだ。国内では、顔認証は認証・セキュリティの用途で広く用いられているいっぽうで、決済や店舗サービスといった日常利用の場面で活用される例はまだ多くないので、特別な場所に導入されるというイメージがある。いっぽう同社は、その技術がふだんの生活導線のなかでどのように自然に受け入れられるかを検証したい。その点、「PARK COFFEE」は、大井町エリアのコミュニティ形成拠点を目指すカフェとして開業したので、ふだんの生活導線にある。

