キオクシアは他の競合企業と何が違うのか
キオクシアホールディングスの株価急騰が注目を集めている。2024年12月の東証プライム上場からわずか1年半で70倍超の水準に達し、6月22日には時価総額が60兆円を超えるまでになった。これほどまでの株価上昇を実現しているのは、世界的に見てもキオクシアの技術が評価されているからに他ならない。
半導体メモリー大手の同社が手がけるのはデータを長期保存する「NAND」で、スマートフォンからAIデータセンターまで幅広く使われる。同じ半導体メモリーでも、処理中のデータを一時保持する「DRAM」を主力とする韓国SKハイニックスや米マイクロン・テクノロジー(以下、マイクロン)に対して業績で後れを取ってきたが、その景色が一変しつつある。キオクシアの決算と、海外の代表的な競合他社を比較しながら、メモリー市場の今、そして今後の見通しを読み解く。
目次
直近四半期に表れた利益水準の変化
キオクシアHDの2026年3月期の営業利益は8762億円、営業利益率は約37%だった。通期実績に加えて、2026年3月期第4四半期の営業利益は5991億円、営業利益率は約60%だった。さらに会社は、2027年3月期第1四半期の見通しとして営業利益1兆3000億円、営業利益率74.3%を見込む。(キオクシアの営業利益は企業が独自に算出し、一時的な費用を除いた“継続的な収益力”とされるNon-GAAPベース、以下同)
会社説明では、2026年3月期第4四半期にASP(平均販売単価)がすべてのアプリケーションで大幅に上昇し、製品構成込みで見ても、同じような製品同士で見ても、販売単価がいずれも2倍以上になった。一方、全体の物量は約10%減少している。利益水準の変化には、販売単価の上昇が大きく影響したと読める。
3社比較で浮かぶ論点
キオクシアは他の競合企業と何が違うのか。ここでは、世界的な半導体メモリー大手である、SKハイニックス(韓国)とマイクロン・テクノロジー(米国)の決算の中身を見比べてみよう。
まず、キオクシアをSKハイニックスやマイクロンと並べる際は、会計期間や製品構成の違いを踏まえる必要がある。各社を単純な優劣で比べるよりも、どのメモリーでAI需要を取り込んでいるかを見るほうが実態に近づくことができそうだ。
SKハイニックスの2025年12月期の売上は約97.1兆ウォン(約10.6兆円)、営業利益は約47.2兆ウォン(約5.1兆円)で、営業利益率は約49%だった。2026年1~3月期の営業利益率は約72%だった。同社は、DRAMの中でも、大量のデータを高速にやり取りできる高性能品であるHBMの伸びが、高収益を支えてきたと説明している。
マイクロンの2025年8月期の売上は373.78億ドル(約5.5兆円)、Non-GAAP営業利益率は29.0%だった。売上構成もDRAMが約76.5%で、NAND主力のキオクシアとは収益構成が大きく異なる。
この2社を見ると、AIメモリー需要の取り込みについてはDRAM/HBM側の説明が目立つ。ただし、マイクロンのデータセンター向け事業では、SSDなどの記憶装置に使われるデータ保存用のメモリーであるNANDの出荷量増加も増収要因に挙げられている。AI需要が、計算処理に使うDRAM/HBMだけでなく、データを保存・読み出すNAND/SSD側にも広がりつつある可能性を示す材料である。
そのうえでキオクシアの業績変化をどのように考えるか。直近の利益率上昇を販売単価上昇による一時的な段差とみるのか、それともAIデータセンター向けSSD需要を背景にした収益構造の変化としてみるのかが、次の論点となるだろう。
※本記事作成には一部に生成AIの技術を活用しています。
