ソフトバンクグループ「AI戦略の現在地」を読み解く(時事通信フォト)
6月24日に定時株主総会を開いたソフトバンクグループ。孫正義会長兼社長は経営トップとして「あと10年か15年頑張る」とAI関連分野に注力する戦略を明らかにした。5月に発表された決算では連結純利益が5兆円を超えたが、ChatGPTを開発したOpenAIへの関連投資利益が6.4兆円に達したというポイントも注目された。同社のAI戦略の現在地はどこにあり、これからどこに向かおうとしているのか。
目次
純利益5兆円の内訳に見るAI戦略の位置づけ
まず目を引くのは、2026年3月期の利益規模である。当期売上高は7兆7986億円、最終利益にあたる親会社の所有者に帰属する当期利益は5兆22億円だった。前期の当期利益は1兆1533億円であり、利益水準は大きく切り上がっている。
この5兆円超がどういう意味を持つのか。それを読み解くには、連結損益の大きな足し引きを見ていく必要があるだろう。投資に関する利益が7兆2865億円となり、売上総利益も4兆161億円あった。一方で、販売費・一般管理費はマイナス4兆209億円、財務費用は同7718億円、法人所得税は同5029億円となっている。
投資利益の中身に注目すると、テクノロジー企業に投資するソフトバンク・ビジョン・ファンド事業で6兆6386億円の投資利益を計上しており、そのうち、2号ファンドにあたるビジョン・ファンド2で、OpenAI関連投資の価値上昇分が6兆4655億円として会計上の利益に反映された。
一方、販売費・一般管理費の4兆円規模のマイナスは、2026年3月期だけ突然出た特別な損失というより、通信事業や傘下の英半導体設計大手・Arm、AIコンピューティング事業などを連結するグループ全体の費用として見るべきだろう。だからこそ、今回の純利益5兆円超は、AI事業が営業利益として大きく稼いだというより、OpenAI関連を中心とする投資利益の大きなプラスが、グループ全体の費用を吸収したうえで残った利益として読むのが実態に近いと言えるだろう。
孫氏が掲げる「ASIプラットフォーマー」は何を束ねる構想なのか
株主総会資料で、同社は「No.1 ASIプラットフォーマーへ」と掲げた。ASIは人工超知能を意味し、同社はその構成要素としてAIモデル、AIインフラ、半導体、ロボットを挙げている。
つまり、このAI戦略は、OpenAIというAIモデル企業への投資だけではないということだ。同社は、汎用人工知能を指すAGIや、人工超知能を指すASIの実現にはOpenAIのAIモデルの進化が鍵になり、その進化には膨大な計算能力が不可欠だと説明している。OpenAIのためにAIインフラを米国内で構築する「スターゲート・プロジェクト」を発表したことも、その文脈に置かれている。
ASIについては、「答えるAI」から「働くAI」への変化として説明し、ロボット領域では「知能が身体を持つ」と表現している。ソフトバンクグループのビジョンを読み解くには、この壮大な言葉そのものよりも、OpenAI、Arm、AIインフラ、ロボット投資が、同じ構想の中に束ね直されている点に着目すべきではないだろうか。
※本記事の作成には一部に生成AIの技術を活用しています。
