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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】澁澤倉庫 Research Memo(2):3PL業務を主力とする総合物流企業(1)

*09:12JST 澁澤倉庫 Research Memo(2):3PL業務を主力とする総合物流企業(1)
■事業概要

1. 会社概要
澁澤倉庫<9304>は、祖業の倉庫業を軸に陸上運送業などを組み合わせて展開する3PL(third-party logistics)業務を主力とする総合物流企業で、1897年に“日本資本主義の父”と言われる渋沢栄一によって創業された。渋沢栄一は明治から昭和初期にかけて官僚や実業家として活躍し、第一国立銀行や東京株式取引所(現 (株)東京証券取引所)など数多くの企業の設立・経営に携わった明治期の偉人である。なかでも「わが国の商工業を正しく育成するためには、銀行・運送・保険などとともに倉庫業の完全な発達が不可欠」との信念により早くから物流の重要性を指摘し、自ら事業主となって、日本で最も古い近代的倉庫企業の1つと言われる澁澤倉庫部を創業した。

同社はその後事業を拡大し、昭和初期にかけて主要港を中心に全国に支店を開設、戦後は子会社設立などによって陸・海・空へと領域を拡大して総合物流の体制を築いていった。さらに、顧客のニーズに合わせて海外展開を加速する一方、好立地にある所有不動産を活用して不動産賃貸業も拡充した。原油高や円安など中東情勢などに起因するリスクが増す現在においても、同社は渋沢栄一の精神を基軸に、専門性の強化や機械化、DXによる自動化などにより総合物流企業として進化を続けている。

内外ロジスティクスなど物流事業と不動産事業を展開

2. 事業内容
同社の事業は、「物流事業」と「不動産事業」の2大セグメントで構成されている。物流事業はさらに、3PL、陸上運送、港湾運送、国際輸送(輸出入・フォワーディング、BPO、海外事業)などに分けられ、同社と国内・世界各地の関連会社が有機的に連携しながらそれぞれの地盤で事業を展開している。取引先は、飲料・日用品を主力に、アパレルから家電まで多岐にわたる。不動産事業では、保有不動産を生かした不動産開発賃貸、不動産管理などを行っている。営業収益の構成比は物流事業が9割以上を占めるが、営業利益は、両事業ほぼ同等の比率を占め、近年は物流事業の構成比が高まっている。

なお、財務会計上のセグメント分類は物流事業と不動産事業で、物流事業は業務別に倉庫業務、港湾運送業務、陸上運送業務、国際輸送業務、その他の物流業務に細分化されている。しかし近年、個別の業務単位の受注から、倉庫管理を起点とした運送までの一括受注が主流となってきたため、この事業実態を反映させ、開示資料としての透明性を高めるため、倉庫から陸上運送までをシームレスに統合した領域を新たに「3PL業務」として定義し直した。これにより、2027年3月期より物流事業の業務別分類は、3PL業務、港湾運送業務、陸上運送業務、国際輸送業務、その他の物流業務へと変更している。

(1) 物流事業
(a) 3PL
3PL業務は、国内主要都市をカバーするネットワークを基盤に多様な商品の取り扱いノウハウを融合し、倉庫保管のみならず流通加工や輸配送機能などを組み合わせた、顧客に最適な物流サービスを提供している。倉庫保管では、顧客サプライチェーンの戦略拠点として、一般貨物向けの常温倉庫から可動式ラック倉庫や定湿・定温倉庫、危険品倉庫まで、最適な保管環境および顧客の商品特性に応じた多様な荷役機器を有している。流通加工では、飲料や食品、日用品、アパレルほか幅広い商品を対象に、検品・詰め替え・ラベル貼付などを行っている。生産受託も行っており、自動車部品など部材の集約や組み立てを行うサービスを提供している。輸配送では、スケールメリットと全国をカバーする集車ネットワークを活かし、納期・製品・輸送ロットに最適な輸送モードを提供している。特に首都圏におけるECや店舗向け配送では、自社軽貨物サービスによる即日配送やリバースロジスティクス、店舗間在庫移動、クロスドック輸送などにも対応している。また、環境問題や2024年問題※など物流における社会課題の解決策として共同配送を行っており、配送のローコスト化、配送先の荷受け作業の効率化、積載効率向上によるGHG(温室効果ガス)の排出抑制、待機時間の削減、乗務員不足の解消などに寄与している。さらにDXを活用し、自社開発した倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)によるリアルタイムな在庫照会やEDI(電子データ交換)連携のほか、物流データ分析に基づいた調達計画や在庫配置計画の立案など物流ソリューションを提供、労働力不足対応やCO2排出削減など社会課題の解決にも取り組んでいる。

※ 残業規制により輸送能力が不足すること。

(b) 陸上運送
陸上運送業務では、東名阪や千葉地区といったドミナントエリアを基盤に全国で、長距離輸送・地場輸送、特殊車両輸送などのサービスを提供している。陸上運送サービスの最大の特徴は、トレーラーや大型車など豊富な車両と全国ネットの営業網を生かした大量ラウンド運行※1による「幹線輸送」、および自社開発の輸配送システムなどによる「地域内の地場配送」の連携にある。また、子会社と連携した鉄道輸送やフェリー輸送のモーダルシフト※2もワンストップで提供しており、乗務員の労働環境改善、環境負荷低減や自然災害発生時のBCP(Business Continuity Planning)※3対策に貢献している。

※1 複数の輸送ルートを組み合わせて空車区間を減らし、効率的に輸送する手法。
※2 トラックなどによる自動車貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶へと転換すること。
※3 自然災害やテロ、システム障害など緊急事態時の事業継続計画。

(c) 港湾運送
船舶代理店として、船舶の効率的な入港を多角的に支援している。パイロット(水先案内人)やタグボートの手配、海上保安庁、税関、検疫所など関係省庁への各種手続き、B/L(船荷証券)発行、海上コンテナ輸送に至るまで、広範囲にわたるサービスを提供している。また、船内荷役やはしけ運送などの港湾運送業務でも多くの実績がある。特に在来船の船内荷役では、主要港での長年にわたる経験やノウハウを生かし、鋼材などの長尺物や穀物、重機、プラントといった大型貨物の積み卸しや積み付け、ラッシング(固縛)などの作業を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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