ヤクザとマネー・マル秘資料編 #6
杳として知れない暴力団の資金源やビジネスの実態を、『サカナとヤクザ』などの著作で次々と明らかにしてきた暴力団取材のエキスパート鈴木智彦氏。長年にわたる取材活動のなかで、日本最大の暴力団組織・山口組に関する様々な警察資料や内部資料を入手してきた。鈴木氏がみずからその貴重な資料について解説した2025年8月のマネーポストWEBプレミアムのライブ配信に、聞き手として週刊ポスト編集長の酒井裕玄が同席した。『山口組新報』をさらにめくっていくと、投稿や俳句が掲載されていた。さらに半世紀前の機関誌を見ていくとことで浮かび上がってきたものとは――。
――『山口組新報』はなかなか興味深くて。『まちの声』というコーナーで『一般男性』という名義で投稿が載っているんです。「昔の銭湯には、ヤクザの親分に若い衆がつきもので、わたしは少年でありながらも、龍や虎、牡丹の入れ墨のかっこよさに憧れた」と。
山口組新報の「まちの声」
「まあ、相当な密接交際者っぽいんですけどね(笑)」
――「しかし、1年ほど前から、暴力団排除のポスターや『入れ墨・タトゥーお断り』の看板が立ち始めて、入れ墨品評会のようなあの風景が全く見られなくなってしまった」……という話です。ノスタルジーですね。途中からは、もっと踏み込んでいきますね。「今の世の中はヤクザ=悪と決めつけて排除運動になっている……友人や知人、身内に暴力団がいるだけで公共入札を断られたり、一緒に逮捕されたり、罪もない人が会社を潰されたりする。とんでもない時代だと実感させられます。学校の先生やヤクザの親分に叱ってもらうような時代はもう来ないのでしょうか」と、そういう主張なんです。
「トクリュウの強盗の事件が起きたときに、『うちの縄張りでやったらぶっ殺す』みたいなことをやってましたよね。そういう主張だと思うんですけど、まあこれはどう考えても一般男性じゃないですよね(笑)。『実話時代』にはこういうのが載ることはあるけど、これは身内だろっていう」
――次のページには、俳句・川柳のコーナー。
「刑務所の中で、矯正や教養のために俳句をやるんですよ。これがみんな、うまいんですよ。社会風刺もあって」
俳句・川柳のコーナー
――『因果とて離れし友よ無念なり』というのもあれば、『部分やせしたいところが大部分』っていう……さらに『年金は徐々に減らして先はゼロ』なんていう句もある(笑)。
「年金払ってんのか?っていうね(笑)。人情ものもあって、なかなか多彩なんです。テレビに出てる先生にも評価してもらいたいですよね。相手が相手だから、ビクビクしてね」
さらに鈴木氏は、政治批評から芸能人が居並ぶ結婚式まで、さまざまな特集が並ぶ半世紀前の機関誌から、そこに滲むヤクザの意外な自意識を読み解いていく。
【プロフィール】
鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。日本大学藝術学部写真学科除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めたのち、フリーに。著書に『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(小学館)、『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)など多数。
■鈴木智彦氏が毎月のように出演する大反響シリーズ「ヤクザとマネー」のアーカイブ動画はマネーポストWEBプレミアムにて公開中(初回登録月は無料)。
※本記事の作成にあたっては、公開動画の内容をもとに構成しています。


