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「いつ暴発してもおかしくはない」イーロン・マスク氏とスペースXが抱えるリスクの数々「絶対的な支配権を持つ独裁状態」「連発する暴言や妄言」…最大の壁となるのは中国か

マスク氏がコケたらドミノ倒しになりかねない(イラスト/井川泰年)

マスク氏がコケたらドミノ倒しになりかねない(イラスト/井川泰年)

 宇宙開発企業「スペースX」の上場で史上初の「兆万長者(トリリオネア)」となったイーロン・マスク氏。しかし、経営コンサルタントの大前研一氏は「マスク氏とスペースXはいくつものリスクを抱えている」と指摘し、「対応を誤れば株価は暴落する」「いつ暴発してもおかしくはない」と警鐘を鳴らす。マスク氏とスペースXのリスクについて、大前氏が解説する。

史上初の「兆万長者」

 イーロン・マスク氏率いるSNS「X(旧ツイッター)」社が、6月下旬から個人間のデジタル決済・金融サービスに参入した。「Xマネー」という独自の金融プラットフォームで、個人間の送金や受け取りは手数料ゼロ。しかも、口座の年利は最大6%という既存のアメリカの金融機関の金利を大きく上回る水準になっている。現時点ではアメリカ国内の有料会員が対象で、米ドル限定だ。

 マスク氏の勢いは衰えを知らない。6月半ばには、自身が創業して会長兼CEO(最高経営責任者)を務める宇宙開発企業「スペースX」のIPO(新規株式公開)に伴い、大株主のマスク氏の個人資産が1兆ドル(約160兆円)を超え、「兆万長者(トリリオネア)」になったと報じられた。この金額は、日本のGDP(国内総生産)の約4分の1に相当する巨額で、「兆万長者」の誕生は史上初だ。マスク氏は押しも押されもせぬ「世界一の大富豪」になったのである。

 実際、スマホの通常の電波が届かない山地や海上、離島などでも利用できる同社の衛星通信サービス「スターリンク」はどんどん市場を拡大し、ロシアと戦争中のウクライナやアメリカ・イスラエルに攻撃されたイランでは重要な“武器”になっている。日本でもau、ソフトバンク、NTTドコモの携帯キャリア3社がサービスを提供している。

 スペースXのIPO前に明かされた「宇宙空間AI(人工知能)データセンター」計画にも世界が注目している。同社が100万基も宇宙に打ち上げるというAIデータセンター衛星は高さ20m・翼幅70mで、半導体を収めたラックを中心に巨大なソーラーパネルと液体冷却ラジエーターを組み合わせた構造。マスク氏は「スターリンクよりはるかにシンプルな設計」だと説明している。

 日本や欧米では、莫大な電力と大量の冷却水を消費するデータセンターの建設をめぐって周辺住民の反対運動が頻発しているので、宇宙空間にデータセンターをつくれば、この問題の解決策にもなるというわけだ。

次のページ:マスク氏とスペースXが抱えるリスク

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