トラブルの実態とは(中古車買取業者の「カートップ」)
1000万円超の買取額を提示されて愛車を手放したのに、代金が払われない。中古車業界の一部で、悪徳業者による被害が急拡大している。しかし、事件として立件されるにはハードルが高いといい、泣き寝入りするしかない被害者からは悲痛な声が届く。ビッグモーター問題をはじめ、中古車業界で相次ぐトラブルを追及してきた自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏がレポートする。【全3回の第1回】
代金未払いのまま車はオークションで転売
「車を買取業者に売ったが代金が支払われない」──にわかに信じがたいトラブルが頻発している。
愛車のランドクルーザーを中古車買取の一括査定サイトに登録し、そこで高額査定を提示してきた業者に売却したというAさんが明かす。
「買取額1030万円を提示した業者と昨年5月中旬に契約を済ませて車を引き渡したのですが、直後に弁護士から業者の破産手続きが開始されたことを知らせる通知が届き、その後、入金はありませんでした」
代金が支払われないままAさんの手元を離れたランドクルーザーはどこに行ったのか。
「車に装備されているGPS機能で所在を追跡してみたら、売った店とは違う名古屋市内を示し、その数時間後には愛知県内のSUV専門店に移動していました」(同前)
買取を行なった中古車業者は、所有者だったAさんに代金を支払わないまま、オークションで転売していたのだ。落札情報を調べると、買取提示額より100万円以上安い価格で落札されていたことが判明したという。
「仮に提示額のまま私に支払っていたら業者は赤字になります。はじめから払うつもりはなく、車を騙し取るための高額査定だったとわかり、怒りが湧きました」(同前)
