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「コンビニバイトも続かなかった…」選択定年制で55歳で退職、海外移住を夢見るバブル世代男性の“理想と現実”

 せめて海外の文化には触れたいと思い、英会話や中国語のサークルに参加していたコウジさん。会社員として葛藤し続ける日々を送るうちに、「将来の海外移住も見据えて、日本語教師になりたい」という希望を見出した。

 文化庁の「令和3年度 日本語教育実態調査報告書」によると、日本語教師の数は50代が7724人(19.7%)、60代が8948人(22.8%)、70代以上が4695人(12.0%)と、コウジさんのような中高年の数は多い。

 また、約30年間で市場も大幅に拡大。平成2年度から令和3年度までの推移を見ると、日本語教育実施機関・施設数は821から2541人(3.1倍)、日本語教師の数は、8329人から3万9241人(4.7倍)、日本語学習者数は6万601人から12万3408人(2倍)に増えている。

夢への一歩だった日本語教師の仕事の理想と現実

 コウジさんは「これが最後のチャンス」と感じ、選択定年制で退職年齢を「55歳」に設定。会社に在籍しながら、日本語教師になるための要件である「文化庁認定講座」を420時間にわたり受講した。そして、会社を退職して、晴れて国内の日本語学校の常勤講師となり、夢への一歩を踏み出したように見えた。

「初任給は約20万円で、給料には満足していました。私の計算では、これくらいもらえれば、仮に会社に残り続けたとして、60歳までにもらう金額と退職金の合計と変わらないかなと。早期退職することでトータルで損しないように、月収をどのくらい稼いだらいいかという目安が20万円弱だったんです。

 ただ、問題は給料ではなく、実務でした。理想と現実はあまりにも違い、私の学校には『日本語をバリバリ勉強したい』というような意欲的な生徒はゼロ。基本的に授業中は寝てばかりの生徒もいて、とにかくやる気が感じられない。あまりにも学校に来ないので、生徒の家まで訪問したこともあります。生徒のためだと思い、いくら教材を工夫しても手ごたえがありませんでした。

 どうも、ビザのためとか、適当に海外に語学留学をしてハクをつけよう、ぐらいの気分で通っている生徒が多かったようです……」

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