吉田みく「誰にだって言い分があります」

もはや運転免許は贅沢品? 教習所費用と奨学金の「ダブル返済」に直面する新社会人の憂鬱

自動車教習所にかかる費用や時間の捻出からして課題(イメージ)

自動車教習所にかかる費用や時間の捻出からして課題(イメージ)

免許取得の喜びも希望も「あまりない」

 そんなカズマさんだが、あるきっかけで自動車教習所の運転免許合宿へ通うことになる。

「入社前の2月の配属先発表で、地方へ行くことが決まりました。会社に運転免許を持っていないと伝えると、『絶対必要になるから合宿で取っておいで!』と先輩社員からアドバイスされたので、仕方なく急遽申し込むことに……。

 貯金もなかったので、合宿費用は結局親から借りました。思ったより多額のお金が必要になり、この春休みに計画していた友人との卒業旅行も泣く泣くキャンセル。学生時代最後の思い出作りができなかったうえ、これからは親に借りた自動車教習所費用と奨学金のダブル返済が待っている……。社会人生活がマイナスからのスタートになり、うんざりです」

 無事に運転免許証を取得することができたものの、母からは「だから早く取ればよかったのに」と嫌味を言われ続けているそうだ。免許を取った喜びも「どんな車に乗ろうか」との希望も「あまりない」とカズマさんは冷めていた。

 かつては運転免許証を取得するのが当たり前のような風潮があったが、若者の車離れが言われて久しい昨今、経済的な理由や価値観の多様化により、変化してきている印象を受ける。そもそも、時間とお金の余裕がないと自動車教習所に通うことはできない。もしかしたらこの先、運転免許が“贅沢品”の一つに数えられる時代になるのかもしれない。(了)

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