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今夏から始まる“ゾンビ企業”の倒産ラッシュ 「ゼロゼロ融資」返済が重い負担に

先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見に臨む日銀の植田和男総裁(時事通信フォト)

先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見に臨む日銀の植田和男総裁(時事通信フォト)

「問題は、まさにこれからです。ゼロゼロ融資の返済は3年が過ぎた今年夏ごろに本格化してくるといわれ、さらなる倒産件数の増加は避けられそうにない」(須田氏、以下同)

 帝国データバンクの推計では、稼いだ利益で借入金の利子を払えない「ゾンビ企業」の数は2021年度に全国18.8万社にのぼる。なかでも「収益力改善」や「過剰債務解消」など複数の深刻な課題を抱えた企業はそのうちの約2割、3.3万社あるという。自社の経営体力を上回る借金を抱え、抜本的な再生が必要な「ゾンビ企業」がすぐに倒産するわけではないが、“潜在的な倒産リスク”が大量にあるといえるだろう。

「ゼロゼロ融資の返済が本格化するなか、日銀の植田新総裁はいまのところ利上げに踏み切る構えは見せていないが、いずれ金利が上昇してくるようだと、かろうじて生きのびてきた中小零細企業もいよいよ万事休す。

 原材料高騰、人手不足に伴う人件費の上昇、それらによる収益の圧迫に加えて、ゼロゼロ融資の返済、さらに借金をしようとすれば金利上昇で負担は増すばかり……。コロナ禍でもなんとかこらえてきた企業にとっては四重にも五重にも苦難が襲いかかろうとしているのです」

 ただでさえ富裕層と貧困層の「二極化」が広がってきたといわれるが、この先はごく一握りの超富裕層を除けば、大多数の国民が貧困層に転落する「一億総下流社会」が現実味を帯びてくるのかもしれない。植田新総裁には国民に寄り添った政策変更が何よりも求められるのはいうまでもない。(了)

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