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大学生活に馴染めない、無気力、不登校… 「不本意入学」の学生たちが直面する壁

一応大学に入学したものの…(イメージ)

一応大学に入学したものの…(イメージ)

 4月から大学1年生たちの新生活が始まった。キラキラと輝くキャンパスライフを夢見て上京し、新たなスタートを切った希望溢れる学生たち──。そんなイメージを抱く人も多いかもしれないが、大学生の実態はかならずしも順風満帆とは限らない。新学期がはじまってすぐに不登校になる人や、無気力状態で授業への参加や課題提出がままならないという人も少なからずいる。

 その理由のひとつとして挙げられるのが、「不本意入学」だ。不本意入学の背景はさまざまだが、いくつかのケースがあるという。都内の私立大学で学生支援に携わるスタッフのAさん(40代女性)は、次のように話す。

「どの偏差値帯の大学にも、一定数の不本意入学という意識を持った学生は存在します。一般的には憧れを持たれるような名門大学でも、本人にとっては『不本意』であることも珍しくありません」

 よくある不本意入学のケースは次のようなものがあるという

【1】第一志望の大学に入学できず、滑り止めなどで受験した大学に進学したケース
【2】興味のない学部に進学してしまい、専門分野に関心が持てず、講義や実験についていけないケース
【3】国立志願者が私立大学に入学し、国立大学へのコンプレックスが拭い去れないケース

 Aさんが解説する。

「ひとつ目のケースでは、“自分はもっと実力がある”という認識を捨てきれず、大学で出会った他の学生を自分よりも劣った存在だと決めつけてしまい、人間関係をうまく構築できなくなります。せっかく入学しても“こんな大学は自分に見合っていない”と現実を受け止められずにいるうちに、周囲の学生はグループを作ったり、サークル活動で楽しそうにしている。あとから、その輪に入れないことで、不登校気味になるパターンがみられます。

 ふたつ目のケースは、興味のない学部に進学してしまい関心を持てずに単位取得ができなくなるパターン。とくに専門性が高い学科や、理系で実験に多くの時間を費やす学部に進学した結果、まったく周囲についていけなくなってしまう学生もいます。

 最後のケースは国立大学志願者が滑り止めとして受験した私大に入学するケースです。一部の国立志願者のなかには“国立大学信仰”が非常に強い人がおり、どんな名門校であっても“私立大学は国立大学よりも劣っている”という考えに縛られている人がいます。そうした認識が結果的に自分を苦しめてしまい、私立大学に通っている自分を受け止められずに大学生活に馴染めなくなるのです」(Aさん)

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