年金役人はまず現役世代の保険料を上げ、それに不満を持つ現役サラリーマンに“高齢者はもらいすぎ。不公平だ”とささやいて高齢者に怒りを向けさせ、世代間の争いをつくり出して次に高齢者の年金をカットしようとしているのだ。
●現役→高齢者→低所得者の順に回す“負担増サイクル”
経済ジャーナリストの荻原博子氏の指摘は鋭い。
「政府は社会保障を負担させる相手を3つに分断して順番に回しているように見える。まず現役世代の負担を増やし、次に高齢者、続いて低所得者を標的にする。そうやって互いに敵対させることで国への不満を巧妙にそらしながら、結局はみな負担が重くなっていくわけです」
医療・介護の負担増がそれと同じやり方だ。
今年(2016年)、現役世代(40~64歳)が負担する介護保険料は過去最高の月額5352円(全国平均)まで上がった。すると、厚労省は高齢者へと標的を変え、来年度から高齢者が介護給付を受ける際の自己負担を1.5倍(2割→3割)に引き上げる構えだ。