住まい・不動産

高級別荘地・軽井沢の景観を守るための“街のルール” ビル・ゲイツ氏の豪邸は物議、新たな富裕層参入で軋轢も

高級別荘地として知られる長野県・軽井沢ならではの暗黙のルールとは(写真:イメージマート)

高級別荘地として知られる長野県・軽井沢ならではの暗黙のルールとは(写真:イメージマート)

 本当のお金持ちはどんな街で暮らしているのか? 「町内会に詳しい人たちはいま、みんな軽井沢に行っているんです」──日本有数の高級住宅街・田園調布で、男性住民に町内会の実態を尋ねた際に出てきた言葉だ。富裕層専門のファイナンシャルプランナー・江上治さんは、いまの富裕層は拠点を複数持って生活している人が多いと話す。

「税金対策をかねて、みなさん2拠点どころか3拠点生活をなさっています。自宅のほかに別荘を2軒以上持っているのが“普通”なのです」(江上さん)

 本物のお金持ちが集まる別荘地といえば、やはり軽井沢ということ。明治時代、宣教師が避暑地にしたことをきっかけに、外国人の別荘が建つようになり、その文化が次第に上流階級に浸透していった。ノーベル賞作家・川端康成氏をはじめとして数多の文人が別荘を建てて執筆や交歓を行ったほか、上皇さまが皇太子時代に美智子さまとテニスをし、恋に落ちた「思い出の地」であることでも有名だ。

 旧軽井沢の諏訪の森神社地区には建築協定の会があり、基本的にはマンション建設はNGで、300坪以下の土地に分割するのもダメ。環境を守るために活動する軽井沢別荘団体連合会の役員が言う。

「軽井沢はもともと宣教師が発見した土地だから“なるべく質素に、自然に配慮して暮らそう”ということが暗黙のルールになっています。その根底には “肩書のある人もそうでない人も、軽井沢ではみんな平等”という精神がある。だからこそ、避暑地でありながら長きにわたってさまざまな分野から人が集まる社交の場でもあり得ているのです」

 建築協定は2001年のマンション建設計画に別荘住民が反対したのがきっかけで発足し、別荘地分譲という形に変更させた。「お金持ちの街」を作り上げ守っていくためには、時には自ら声を上げ、闘うことも必要なのだ。

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