快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

ナナハンブームを生んだ「ホンダCB750 K4」 高校時代に手が届かなかった「憧れの名車」で疾走して味わった夢心地と現実

 仕事をしながら、古いクルマを快適に走らせるためのパーツの入手に苦労し、すでに生産されていないパーツや電装品は現在のパーツで代用しながら、一からすべて自分で修理して組み上げていくのです。ホイールのスポークもすべて自分で組み上げたそうです。そうして完成した名車「CB750FOUR(以下CB750)」の、中古車市場での参考相場は80~800万円。もちろんこの差は中古車としての状態や、年代による差が影響してのことです。ちなみに調べた中でもっとも高額の約800万円という価格を付けていたのは初代モデルの「K0(ケーゼロ)」で、アメリカから逆輸入したという個体でした。これが国内で販売され、ずっと大切にされてきた個体であれば「1000万円はするかも」と言われるそうです。

 一方で友人の愛車は1974年の「K4」と呼ばれるモデルで、中古車相場は180~300万円ほど。それでもかなりの高額車ということになります。ここで「CB750」について少し解説しましょう。

 ホンダは1966年の2輪の世界GPで、史上初の5クラス完全制覇を成し遂げました。しかし翌年に世界GPロードレースからの撤退を決定。次の目標を「レース活動で得た技術を市販車の高性能化に活かす」とのことでした。当時、国内で生産するホンダの2輪車の半分以上を輸出していたものの、アメリカなどの先進国で求められていた大排気量のスポーツバイクではありませんでした。ホンダがそうした要望に応えるべく、4気筒エンジン、4本マフラー、2輪量産車初のディスクブレーキを装着、世界初の最高速度200km/hを超えた「CB750FOUR(K0)」を発表。するとアメリカでも大人気となり、当時で1800ドルから2000ドルのプレミアムまでついたと言われました。

「走ってこそ価値のあるもの」

 日本でも販売価格は38万5000円として登場し当然ながら人気となり、「750(ナナハン)ブーム」の元となったわけです。そして日本国内のみならず、輸出先でも高評価を得たことで、ライバルメーカーも追随することになったのです。初代のK0が高い人気を誇るのは、そうした歴史的背景があらからです。その後、Kシリーズとしては輸出専用のK8まで続きます。

 一方で友人のK4は基本的なフォルムは変わらずに、機能面で進化した、輸出用は「K3」、国内用が「K4」と呼ばれていました。90年代に知人から譲り受けた車両で、ずっと国内で大切に乗り継がれてきた存在です。それを全部自分でバラし、そして一からじっくりと組み上げて仕上げて来ました。「レストアの難しいのは“どこで見切りを付けるか”なんだ。時間や予算を無尽蔵にかけようと思えば、いくらでもかけられるが、ほどよきところで止めないといつまで経っても走れないし、単なるお飾りになってしまう」と彼は言います。

 そうです、友人はバイクもクルマも投資の対象ではなく「走ってこそ価値のあるもの」という考えなのです。もちろん私もそれ以外の考えで古いクルマを持ちたいとは思いません。

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