森口亮「まるわかり市況分析」

好調日本株に隙はないのか? 7月に「相場の急変動」を警戒すべき3つの理由

【2】7月日銀金融政策決定会合で追加修正があるか

 6月16日に日銀の金融政策決定会合が行われ、大幅な金融緩和の維持が発表されました。一部ではYCC(イールドカーブコントロール)に追加修正が入るのでは?との見通しもあったため、発表直後は円安・株高となり、会合前に買われていた銀行株には利益確定の売りが目立ちました。

 ただし、会合後に行われた植田和男・日銀総裁の記者会見では、YCC修正の可能性について「毎回の会合ごとに決め、ある程度のサプライズはやむを得ない」との発言がありました。今後の政策修正の可能性は残っているということです。

 2022年12月、当時の黒田日銀がサプライズでYCCの許容変動幅を変更したことは記憶に新しいでしょう。その際は、急激な円高と株価の急落を招きました。市場参加者にとってその記憶が鮮明に残っているだけに、7月会合に向けて、修正に対する銀行株上昇への期待や、株価急落、円高転換への警戒が必要であると考えています。次の日銀金融政策決定会合は7月25日、26日となっています。

【3】大規模な株主還元からの反動があるか

 2022年から開催されている東証フォローアップ会議の影響で、主にPBR(株価純資産倍率)1倍以下だった企業が、大規模な自社株買いや増配を発表し、株価が上昇するケースが目立ちました。

 また、著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ社の日本株(総合商社株)への追加投資報道についても、資金流入の大きなきっかけになっていると思われます。

 ただし、ここまで大きく上昇したことで、PBR1倍を超えてきた企業も増えています。また自社株買い発表から時間が経ったことで、買い付けを行った企業の買い余力が減少しており、今後買いを手控える企業も出てくるでしょう。

 本質的には、配当金や自社株買いに充てる資金は、成長投資ではないので利益への影響はありません。仮に、利益の成長がなく株高となった場合、単純に割高となった状態です。その状態で迎える7月以降の決算発表では、業績面から失望売りが出る可能性もあるのではないでしょうか。

 6月末から7月中旬には2月期決算企業の第1四半期決算発表が、7月末から8月中旬にかけては3月決算企業の第1四半期決算発表がピークを迎えることになります。今回の決算発表はハードルがいつもより高いことを意識したいものです。

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