吉田みく「誰にだって言い分があります」

賃上げムードの中での涙目ボーナス事情 「一度も出たことない」「夫婦ともボーナス半減でローン返済が…」

「ボーナス時期は憂鬱」というケースも(イメージ)

「ボーナス時期は憂鬱」というケースも(イメージ)

 大企業を中心に賃上げムードが高まっているようだが、ボーナス事情はどうなっているのか。帝国データバンクが全国の企業1095社に行った「2023年夏季賞与の動向アンケート」によると、今夏のボーナスを前年より「増加する」と回答した企業は37.4%だった。「変わらない」とする企業も36.4%と同程度だったが、一方、「減少する」と回答した企業は9.3%、「賞与はない」との回答も11.2%あった。企業規模が大きいほど「増加する」割合が高まるという。企業によって明暗が分かれるが、「実質賃金」が13か月連続で減少となるなか、夏のボーナスの有無、増減は家計に大きな影響を与えている──。フリーライターの吉田みく氏が、2つの家庭のリアルケースを報告する。

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 都内在住の会社員・タケシさん(仮名、43歳)に夏のボーナスについて話を聞くと「出たことがありません」と嘆いていた。

「毎年ボーナスの時期になると憂鬱になります。贅沢しているわけじゃないのに生活はとても苦しいです……。妻も息子も気を使ってくれているのか、ボーナスについては一切触れてきません」(タケシさん)

 タケシさんは従業員30人ほどの中小企業で営業の仕事をしている。勤務先は自宅の近くでほとんど残業がないのはありがたいが、給料は月25万円で、ボーナスは今まで一度も出たことがないという。収入を増やしたいとの理由から転職を考えてはみるものの、書類選考の時点で落とされてしまうことが多いそうだ。

「妻はスーパーのパートで月8万円の収入があります。子供が小学生のうちは何とかなったのですが、中学生になり高校進学のことが視野に入ってくると、今の収入のままでは家族を養うことができないという不安が高まってきます。

 昨年からの電気代・ガス代や食品価格の高騰は我が家の家計を直撃。妻は節約に一生懸命ですが、それにも限界があります。息子の高校受験に備えて少しでも貯金を増やそうと思うと、家賃などの固定費を減らすしかありませんが、簡単なことではないですよね……」(同前)

 詳しい収支は明かさなかったが、話を聞けば聞くほど、タケシさんの家計が毎月ギリギリの状態であることが窺えた。

「私が今の職場を選んだのには理由があります。それは妻のワンオペ育児を少しでも助けたかったからです。私たちの両親は遠方に住んでおり頼ることはできません。10年以上前、妻が育児ノイローゼになりかけた時、思い切って今の会社に転職をしました。子育てに関わる時間はしっかり取れたものの、金銭的には厳しい状況に……。私の選択が正しかったのかどうか、今となっては何とも言えません」(同前)

 現在、タケシさんの妻は転職活動中だそうだ。正社員を目指しているものの、なかなか採用には至らないという。「5万円でもいいのでボーナスが出る職場なら嬉しいですね」と話していた。

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