吉田みく「誰にだって言い分があります」

賃上げムードの中での涙目ボーナス事情 「一度も出たことない」「夫婦ともボーナス半減でローン返済が…」

ボーナス額の変動で家計見直しが必要になるケースも(イメージ)

ボーナス額の変動で家計見直しが必要になるケースも(イメージ)

ボーナス減っても「生活水準は下げられない」

 都内在住の会社員・タクマさん(仮名、38歳)は、コロナ禍に購入した新築マンションのローン返済に追われていることを打ち明けてくれた。

「コロナ禍でマンション価格が高騰している時でしたが、妻も私もフルタイムの正社員なので何とかなるだろうと、思い切って購入しました。小学生になった子供のための部屋もできて、とても気に入っているマンションですが、今は毎月の支払いが辛いです……」(タクマさん、以下同)

 マンションの購入価格は約8000万円で、管理費などを含めると月20万円ほどの支払いになるという。購入当時は夫婦合わせて1000万円を超える年収があったタクマさん夫婦だが、会社の業績不振の影響で、最近、収入が減っているそうだ。

「以前は100万円だった夏のボーナスも、今年は50万円しか出ませんでした。妻は50万円から20万円に……。正直、年齢とともに収入は上がっていく一方かと思っていたので、このボーナス額には驚いています」

 対応するには生活水準を下げるほかないように思えるが、タクマさんは「それは無理ですね」とはっきりと言った。

「住宅ローンはボーナス返済を設定していないのですが、その分、車や時計のローンの支払いに充てるつもりだったんです。売っても大したお金にならないので売る気はありません。それに生活水準を下げると、仕事に対するモチベーションも下がっちゃうっていうか……やる気が出なくなりそうで怖いんです」

 支払いに回す予定だったボーナスが大幅に少なかったタクマさん夫婦。一時的に両親に金銭的な支援を頼むべく、打診中だそうだ。

 雇用形態や会社の業績によって大きく左右されるボーナス事情。金額の多寡に関係なく、「支給されるだけ羨ましい」との声も聞こえてきそうだが、2人目のタクマさんのケースのように、ボーナス返済を当てにして外れたときの痛手は大きそうだ。ボーナスを前提とした買い物は計画的にしたい。

【プロフィール】
吉田みく(よしだ・みく)/埼玉県生まれ。大学では貧困や福祉などの社会問題を学び、現在はフリーライターとして人間関係に独自の視点で切り込んでいる。マネーポストWEBにてコラム「誰にだって言い分があります」を連載中。趣味はドライブをしながら道の駅を巡ること。

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