田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国の理財商品で問題再燃、株式市場への影響も懸念

発端は、本土不動産業界のトップ企業である万科企業で起きた敵対的買収騒動

発端は、本土不動産業界のトップ企業である万科企業で起きた敵対的買収騒動

 中国で、再び理財商品(高利回りの資産運用商品)問題が発生している。今のところ、金融システムに大きな影響を与える問題ではなさそうだが、株式市場への影響については不透明である。

 問題の本質は単純である。保険会社が販売する万能保険の運用に関する違法行為である。万能保険とは、生命保険部分に投資信託を組み合わせたユニバーサル保険のような商品である。この投資信託部分の投資先である特定の企業について、大株主の立場にあり、本来なら純粋な長期安定投資家としてふるまわなければならないにもかかわらず、一部の生命保険会社が、企業買収や株価釣り上げとみられるような行動をとったのである。

 つまり、保険会社が仕手筋や、不動産企業の傘下企業になり、親会社の投資投機活動の道具とされたのである。

 発端は、本土不動産業界のトップ企業である万科企業(深センA株000002、深センB株200002、H株02202)で起きた敵対的買収騒動にある。

 2015年7月、姚振華会長が100%権益を所有する深セン市宝能投資集団有限公司(宝能)が万科企業の株式買占めを開始した。8月には発行済み株式総数の15.04%を取得。一旦、華潤股フェン有限公司(華潤)を抜き、筆頭株主となった。9月には華潤に抜き返されたが、その後、株を買い増し、12月には22.45%を取得、再び筆頭株主に返り咲いている。

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