投資

カリスマファンドマネージャーが解説! 効率経営への転換を図る大型株に妙味あり

個人に迫られる投資か、消費かの選択

日本では「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズが長年繰り返されてきたが、今年はかけ声だけでなく、いよいよその流れが本格化する年になると予想する。

政府の債務残高(借金)は1000兆円を超え、これを解消するためには、(1)増税、(2)インフレが常套手段となる。すでに消費増税は実施されてきたが、もうひとつのインフレで何を起こそうとしているのか。物価が上がることで現金の価値は相対的に目減りする。これによって1000兆円もの借金の価値を下げようとしているのだ。

そのために国策として「貯蓄から投資へ」の流れを強め、個人が持つ現預金を吐き出させようという動きが高まっている。

昨年10月に追加金融緩和を打ち出し、さらなる追加緩和の観測も高まっている「黒田バズーカ」は、その典型だ。デフレマインドを払拭するために日銀が市場に資金をばらまくことで円の価値を下げる。いわば国民に「預貯金の価値が下がるのがイヤなら、投資するか、消費するか」の選択を迫っているわけである。

実際、個人の現預金は約870兆円あるとされるが、当局はここに狙いを定め、投資を促す施策を続々と繰り出そうとしている。たとえば「NISA(少額投資非課税制度)」の資金枠を広げたり、対象範囲を子どもにも拡大したりといった動きに加え、15年度税制改正大綱には老後資金を自ら運用する「401k(確定拠出年金)」の対象を拡大するプランが盛り込まれている。

ROE重視の観点から企業選別が進む

約300兆円とされる企業の内部留保も当局のターゲットになっている。リスクをとらない保守的な企業経営者を問題視する風潮が強まり、機関投資家に投資先企業の収益を還元させるよう迫る「日本版スチュワードシップコード(機関投資家の行動指針)」が導入された。これによって、内部留保を成長に振り向ける企業には投資するが、そうでない企業からは資金を引き揚げるといった行動をとるよう、機関投資家に迫っているのだ。

具体的には、議決権行使助言大手のISS(インスティテュショナル・シェアホルダー・サービシーズ)が、5年連続でROE(自己資本利益率)が5%を下回る企業の経営者には退陣を迫る方針を打ち出すなど、機関投資家と企業との間では緊張感が高まっている。手元に現金を抱えたままではROEが下がるため、企業経営者はより効率的な経営が求められている。

そう考えていくと、今後はROE重視という観点から株式市場を通じた企業の選別が進むのは必至といえる。相場の主役である外国人投資家もその動きをフォローすることで、一段の株価上昇が見込めるだろう。そして、それが銘柄選別のポイントにもなってくる。この先、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)も騰勢を強めるだろうが、これらのインデックスにはどうしても非効率的な経営をする企業が含まれる。効率経営を進める企業に投資してより大きなリターンを狙うためには、自ら個別銘柄を選別する目がいままで以上に求められてくるに違いない。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。