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アーム「8.6兆円上場」で反転攻勢の孫正義氏を待つ落とし穴 中国市場の低迷、ライバル台頭を越える最大のリスクとは

 孫氏はChatGPTはじめAI知能の進化を称え、近い将来AIが人類を超える技術的到達点「シンギュラリティ」を迎えると力説した。さらにビジネス、ニュース、ショッピング、金融など人間社会のあらゆる分野がAIに統合されるとも。

 その社会で中核を担うのが他ならぬアームだ。同社が手がけるスマホやタブレットの心臓部である「CPU(中央演算処理装置)」の設計開発は、スマホにおいて世界シェア9割を誇る。アームによる半導体設計、それにCPU開発は、AIなど複雑な演算処理が必要なアプリケーションに欠かせない。

「アップルのiPhoneやサムスンのギャラクシーなど世界の主力商品もアームなしでは製造できない。500社近い半導体メーカーと取引し、ライセンスやロイヤリティーで収入を得る“支配力”を孫氏は欲しがっている」(関氏)

 アームの持つ顧客の情報網があれば、迅速かつ的確に情報を得られ、集積されたビッグデータを様々なビジネスに活用できる展望が開ける。孫氏がIoT(Internet of Things=世の中の全てがネットでつながること)時代の覇者となる可能性も見えてくるだろう。森岡氏の話。

「アームの上場と同時に、アップルやサムスン、エヌビディアやインテルなど世界の主要な半導体関連企業もアームに出資すると報じられました。そうしたメガ企業と渡り合い、ソフトバンクGを中心とする『アーム経済圏』を形成するのが真の狙いでしょう」

牙城が崩れる

 だが、孫氏の野望には落とし穴もある。まず指摘されるのが市場の動向だ。

「アメリカ市場は上向きではあるが安定せず、株価暴落で含み損が出るリスクが依然残ります。また、SVFの投資は上場株ではなく、非上場のベンチャーが主体なので先行き不透明です。ソフトバンクGの命運を握るSVFがまた巨額の赤字を垂れ流すようになれば孫さんは失速します。孫さんが注力する中国市場の低迷や、中国不動産バブルの崩壊を懸念する声も聞こえてくる」(関氏)

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