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【10月から電気代「インボイス値上げ」へ】売電する一般家庭の益税分の消費税が電気料金に上乗せされる仕組み

10月からのインボイス導入のしわ寄せは消費者に及ぶ(時事通信フォト)

10月からのインボイス導入のしわ寄せは消費者に及ぶ(時事通信フォト)

 マイナ問題の泥沼化で支持率低落が止まらない岸田文雄・首相。それに追い討ちをかけるのが、10月から導入する消費税のインボイス制度だ。

 インボイス制度は国税庁に登録した課税事業者だけが消費税の正確な税率や税額を証明するインボイス(適格請求書)という名の領収証を発行できるようにする制度だ。現在、課税売上高が1000万円以下の商店、自営業、農家、フリーランスなど小規模事業者は消費税を納付する義務が免除されているが、登録すれば売り上げ1000万円以下でも消費税を納めなければならなくなる。

 インボイスを発行できないと取引から排除される可能性があるため、免税業者は登録=課税を選択するか迫られる。経済ジャーナリストの荻原博子氏が指摘する。

「一番影響が大きいのは売り上げが小さい事業者。年商300万円でその半分が仕入れ経費という個人商店や自営業者の場合、消費税を納めなければならなくなると手取りが年15万円も減る」

 打撃を受けるのは自営業者やフリーランスにはとどまらない。この10月から、日本社会全体に「インボイス・パニック」が広がりそうなのだ。

電気代が値上げされる仕組み

 荻原氏はインボイス導入の影響と混乱はサラリーマンや高齢者を含めた国民全体に及ぶという。

「企業はインボイスという新たな制度に対応するため事務処理が非常に煩雑になります。経理部門は免税業者との取引を一つずつチェックして取引を続けるかどうか対応を決めなければならないし、社員も、たとえばインボイスを発行できない免税事業者の飲食店や個人タクシーなどの領収証は経費として認められないということが起きかねない。

 高齢者もそう。65歳過ぎで年金だけでは生活できないからとフリーランスや会社との請け負い契約で働いている人は、収入(給料)は一定でも10月からは課税業者に登録して消費税を納めなければ仕事を干される可能性があるから手取りが減る。最近増えているサラリーマンの副業や、駐車場経営などで不動産収入がある人も同じです」

 そのしわ寄せは消費者にも及ぶ。10月からは電気代の「インボイス値上げ」が行なわれる。

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