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【定年後のインボイス対応どうすべき?】再雇用、副業、フリーランス…働き方別の対応策を詳細解説

 悩んだ末にインボイス登録を決めた場合、欠かせないのが「納税シミュレーション」だ。

「実際に支払った消費税額を控除する『原則課税』、みなし仕入率で計算する『簡易課税』、経過措置の『2割特例』をシミュレーションしたうえで、どの方法が最も有利か判断すべきです。

 2割特例はあくまで時限的なもので、その後は一般的には簡易課税が得になりやすいが、自営業で初期費用や設備投資などが高額になる場合は、原則課税が有利になるケースがあります。簡易課税は一度申告すると2年間継続する必要があるので注意しましょう」

 実家に戻って「農業」に従事する場合も、考えるべきことは多い。

「組合員が農協に販売を委託したり、出荷者が卸売市場で販売したりするケースは、インボイスの交付義務が免除されます。また、一般の消費者にネット販売する場合や簡易課税を採用する飲食店に卸す場合はインボイスを求められることはないでしょう。

 ただし原則課税の飲食店に卸す場合は、インボイスの発行を求められる可能性が高くなります。販売先を考慮してインボイス登録を判断することが大事です」

 幅広い職種において、状況次第で落とし穴があることに注意したい。

「通常なら一般客相手でインボイスと関係ないはずの美容室も、銀座などでは夜の店の女性が経費で髪を結うため、インボイスの発行を求められることがあるかもしれません。また、腕の良い職人がインボイス登録を拒み、元請けとの板挟みになった結果、下請け企業が職人の消費税を肩代わりすることも考えられます。

 インボイス制度導入を目前に対応に苦しんでいる人や企業が少なくありません。私は免税事業者すべてがインボイス登録すべきとは思いません。各人が自分に合った最適解を見つけていくことが重要だと考えています」

 多くの問題を抱えながらも制度の実施は待ったなし。チャートの対応策をもとに、最善の選択をしたい。

※週刊ポスト2023年9月8日号

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