妻や夫と死別して寂しさが募る時、気の合う新たなパートナーと出会って「再婚」──そんな幸せな第二の人生に思いを馳せることがあるかもしれない。
実際のところ近年、再婚件数は増えている。厚労省「婚姻に関する統計」によると、1975年は初婚87.3%、再婚12.7%の割合だったが、2015年は初婚73.2%、再婚26.8%となっている。
だが、男性が熟年再婚する場合、思わぬ落とし穴が待ち受けている。男女問題研究家の山崎世美子氏が言う。
「妻と死別した場合に、生き生きとした暮らしができて、他人とのつながりも生まれる新たな恋愛は良いと思います。しかし、死別後の再婚はハードルが高く、子供や資産などをめぐるトラブルが起きやすい。寂しさや不安を埋めるために勢いで突っ走るのは危険です」(以下「 」内のコメントは山崎氏)
どんなトラブルが起きるのか。
「まず男性の気持ちの整理の問題です。離婚とは違い、亡くなった配偶者の思い出は美化される傾向があります。いざ再婚した後に、夫が前の妻を褒めたり比べたりすれば、再婚相手は気分が悪いし、揉める原因になります」
父親の再婚を心配する子供との関係が悪化するパターンも多い。
「子供は『お金』と『亡くなったお母さんの気持ち』を心配します。父の再婚で財産分与がどうなるのかを気にしたり、亡くなった母に思いを馳せて嫌がったりします。周囲の反対を押し切って再婚して、『父は自分でも母でもなく再婚相手を選んだ』と子供がとらえれば、親子関係が崩れかねません」