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「悔しくて仕方ありません」遺言書の書き換えを怠ったことで生じるトラブル 母の晩年に関係が“雪解け”した60代女性の後悔

遺言書を書き換えるべき主なタイミング

遺言書を書き換えるべき主なタイミング

「自筆」も「公正」も自由に書き換えられる

 そもそも遺言書には、すべて自分で手書きする「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」、遺言書の存在のみを証明する「秘密証書遺言」の3種類がある。

「現実的に使われるのは『自筆』と『公正』の2つ。『自筆』はペンと紙さえあれば自分で作成でき、証人が不要で費用もかかりませんが、素人が書くだけに記入ミスの恐れがある。また、自宅保管は紛失や改ざんのリスクがあるため法務局で保管できることも覚えておいてほしいですね。

 一方の『公正』は公証人が作成するので不備が生じる可能性は低いですが、安くても1万6000円ほどの手数料がかかり、その金額は財産額に応じて高くなる。

 共通するのは両者ともに自由に書き換えられること。また、『自筆』を『公正』に変更することも、その逆も可能です」

 実際に書き換えを怠ったことでトラブルに発展した事例がある。10年前に夫を亡くし、自宅を相続した女性・Bさん(85才)は、相続の際に長女のCさん(61才)がクレームをつけたことに腹を立て、疎遠になった。

 しかし、10年が経つうちにCさんとの確執は雪解けし、母子関係は元通りに。そんななか、2023年の夏、Bさんは心不全で急逝した。Cさんはやりきれない表情で事の顛末を話す。

「遺言書が見つかったのですが、それが10年前のもので……。そこには、私にはほとんど財産を残さない旨が書かれてありました。兄には母と雪解けしたこと、最後は私が介護をしたことを話しても、“でも、遺言書に書かれたことが母の意向でしょ”と言うばかりで、どうにもなりませんでした。母が遺言書を書き直してくれていれば、絶対に平等にするか、私の方が取り分が多かったと思うと、悔しくて仕方ありません」

 つまり平均寿命が大幅に延びた現代において、遺言書は「書いた後」こそが最も重要であり、しかるべきタイミングで書き換えることで「争続」を避けられるのだ。

※女性セブン2024年1月1日号

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