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【教育格差解消への挑戦】笑い飯・哲夫が格安の地域塾を運営する思い 「金持ちの子しか賢くなれへんのはおかしいやん」

笑い飯・哲夫が地域塾の運営に乗り出したのはなぜか

笑い飯・哲夫が地域塾の運営に乗り出したのはなぜか

 大学入学共通テストが終わり、中学受験の入試解禁など受験のハイシーズンがやってきた。とりわけここ数年、過熱しているのが中学受験。首都圏の中学入試受験者数は2015年以降、増加の一途を辿り、2023年には過去最多を記録した。そんな状況を複雑な思いで見つめるのは、お笑いコンビ・笑い飯の哲夫(49才)だ。

「ただでさえ最近の子供は“ヤンチャ系”が減ったのに、お正月も勉強で部屋にこもっている子らを見ると大変やなって思いますね。中学受験をアカン文化とは思わないけど、自分がしたいかというとまた違う。中学受験は幼い頃から26インチの自転車に乗っているような感じ。受験は高校からでええやろって思いますね」(哲夫・以下同)

 笑い飯は、ボケとツッコミが入れ替わる「Wボケ」で脚光を浴び、2010年に『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で悲願の優勝を果たした。首から上が鳥で体が人間の「鳥人(とりじん)」など、数々の伝説的なネタを生み出してきた哲夫だが、実はお笑い芸人とは別の顔を持つ。2014年から大阪市淀川区で小中学生向けの格安補習塾「寺子屋こやや」の運営をしており、著書『がんばらない教育』(扶桑社)も上梓した教育者なのだ。

「常に教育には携わっていたかったんです」

 哲夫は真剣な表情でそう語る。

「子供の頃にすてきな先生にいっぱい出会ったこともあり、昔から教育に関心があったんです。学生時代は教師になりたくて、アルバイトで塾講師や家庭教師もようやってた。ぼく、教え方がうまいと思っていますし、何よりも、ぼくが教えたことを子供が理解してくれる瞬間がものすごく好きなんです」

 哲夫は奈良県トップの進学校である奈良高校から関西学院大学文学部哲学科に進んだ。現在は「お笑い」と「塾経営」に加え、「仏教」「花火」「農業」「わらじ編み」という「6足のわらじ」を履く。

 異色の経歴を持つ哲夫が危惧するのが、子供たちに忍び寄る「教育格差」だ。いまは難関中学への高い合格実績をうたう塾に入ると年間100万円かかるとされ、親の経済力が学力に直結することから、「親ガチャ」なる言葉も生まれている。哲夫はそんな現状を憂いてこう話す。

「格差社会は確かにアカンけど、現実に経済格差はあると思うんです。とにかく間違っているのは、経済的に豊かな家庭の子供と、そうじゃない家庭の子供の教育の機会が平等ではないこと。それがいちばんの問題やと思います」

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