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年金が4月から年額1.4万円の“実質減額” マクロ経済スライドに加え2021年に仕込まれた新たな「年金減額ルール」がシレッと発動

現役世代は「年金保険料」大幅引き上げ

 4月の年金ショックは現役世代にも及ぶ。「年金保険料」が大幅に引き上げられるのだ。

 自営業者やフリーランス、アルバイトなど非正規労働者などが加入する国民年金保険料は4月から年額5520円値上げ、来年4月からはさらに6360円値上げと2年連続で引き上げられる。

 過去四半世紀で最大の“異次元値上げ”で、2年分で現在の保険料より1人1万7400円の負担増となる(別掲左図参照)。

2024年4月から「受給額」は減らされ「支払い」は増やされる

2024年4月から「受給額」は減らされ「支払い」は増やされる

 これも物価・賃金上昇に合わせた調整だ。前出の荻原氏が言う。

「年金カットだけではなく、保険料まで上げるというのはやりたい放題ですよ。春闘で賃上げラッシュといっても、非正規労働者にはあまり波及していない。そのうえ、自営業者は消費税のインボイス導入で税金負担が増えている。現在も国民年金は保険料未納率が4割近いのに、大幅値上げすれば未納率がさらに高まって制度が立ち行かなくなる危険さえあります」

 春闘では日本製鉄が月額3万5000円、JFE、神戸製鋼所が3万円、トヨタ自動車が2万8440円と軒並み高水準の賃上げ回答が相次いだ。

 だが、大幅な賃上げの恩恵を受けるサラリーマンも喜んでばかりはいられない。その分、厚生年金保険料の負担がずっしり重くのしかかるからだ。

 厚生年金の保険料率は18.3%で固定され、給料が上がるほど保険料は増える。

 たとえば、月給34万8000円のサラリーマンが4月から月額2万2000円の賃上げになるケースで試算すると、厚生年金や健康保険など社会保険料の算定基準となる標準報酬月額が2段階アップし、7月からの保険料が約6000円も引き上げられる。

 賃上げは月2万2000円でも手取りは1万6000円しか増えない。そして保険料はこれまでより年間7万2000円も多く支払わなければならない。

 サラリーマンの賃上げの上積みは年金保険料にごっそり持っていかれるのである。そのうえ、これら4月の年金ショックは今年から始まる新・年金大改悪のほんの序章に過ぎないのだ。

※週刊ポスト2024年4月5日号

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