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《「バブル超えの株高」の実態》儲けているのは一部の富裕層と外国人投資家だけ、物価上昇に賃上げが追いつかず大多数は「貧しいまま」

株価は上がっても、賃金は下がり続けている(2003~2023年)

株価は上がっても、賃金は下がり続けている(2003~2023年)

「日経平均株価4万円超え」「バブル超えの株高」──メディアでは連日“好景気”が報じられているが、果たしてそれを実感できている人がどれだけいるだろうか。

 ファイナンシャルプランナーの松岡賢治さんは、日本人の9割は株高の恩恵を受けられていないと話す。

「個人で好景気を実感できているのは、基本的に“株を持っている人”だけで、これは日本人の1割程度にすぎません。

 例えば高級品を扱うデパートや旅行関連など、株価が上がることで心理的な余裕が生まれて消費が増加する業界には、お金の流れが見込めます。また株価と不動産は相関関係が非常に強く、実際にこの株高を受けて公示地価はバブル崩壊以後最大の伸びを見せているので、不動産業界は大きな恩恵を受けるでしょう」

物価の上昇に追いついていない賃上げ

 そもそも、株価だけがいくら上がっても、肝心の賃金が上がらなければ、豊かさを実感できるはずはない。

 今年の春闘は満額回答ラッシュで、33年ぶりに平均5%以上の賃上げとなり、中小企業でさえ平均4.5%の賃上げ率となった。この数字だけを見れば、さも賃金が上がって豊かな暮らしに近づいているかのように錯覚するが、実態は大きく異なると、経済評論家の加谷珪一さんが解説する。

「この5%には、ただの昇給分も含まれているのです。日本企業の多くは年功序列で、年次が上がれば自動的に賃金も上がる。その分も合わせての5%なので、厳密には賃上げとは言えません。

 定期昇給分を差し引いた給与水準を底上げするベースアップ(ベア)は3%台。前回のベアは2%台だったので賃上げ率は上昇しているように見えますが、この2年で10%近く物価が上がっているのには、まったく追いついていません」

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