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和田秀樹医師が解説「共感能力を高める5つのステップ」 「相手の状況を注意深く観察する」ことが「相手の気持ち」を理解するための第一歩になる

共感能力が「高い人」と「低い人」はどこが違う?

 相手の気持ちを理解して、それに寄り添うというのは、相手に「媚び」を売ったり、上下の関係を作るためではありません。

 相手を深く理解して、信頼関係を高めることが一番の目的です。そうした行動が自然にできる人が、優しい人の特徴です。

 相手の気持ちが想像できる「共感能力が高い人」には、次のような五つの共通点があります。

【1】相手に興味関心を持って、共感する姿勢で話を聞く
【2】注意深く話を聞いて、自分の意見を押し付けない
【3】否定的な相槌を差し挟まない
【4】自分と異なる意見でも一度は受け止める
【5】相手にとって適切な言葉を探して自分の考えを伝える

 相手の気持ちを考えない人は、こうした言動とは正反対の対応をしているため、多くの場合、相手から「自分勝手」で「独善的」な人と思われています。

 共感能力が低い人には、次のような特徴が見られます。

【1】相手に対する興味関心が薄い
【2】自己中心的な考え方
【3】自己顕示欲が強い
【4】相手の感情を読もうとしない
【5】相手の意見に自分の感情を挟む

 共感能力が低い人は、自己中心的な考え方をするため、相手を理解することよりも、「自分を理解してほしい」という気持ちを強く持っています。

 相手が話している途中でも、「それは違う」とか、「自分はそうは思わない」など、自分の意見を挟んでしまう傾向があります。相手の心情に興味がなく、無神経な言動をすることが多いため、「思いやりがない人」と思われているのです。

 思いやりとは、相手に対する共感の後に生まれる感情のことです。相手の気持ちを想像して、そこに感情移入することが共感であり、共感からさらに一歩踏み込んで、相手の望みを実現したり、困難を乗り越えるために、あれこれとサポートする優しさが、一般的に「思いやり」といわれるものです。

「相手の気持ちを想像する」→「相手に共感する」→「相手に対する思いやりが生まれる」……という流れが、人を優しくさせます。

 そのためには、自ら意識して共感能力を高める工夫をしていくことが、重要なポイントとなります。

「共感能力」を高めるための五つの注意点

 共感能力は生まれ持った性格や気質によって決まるものではなく、相手に興味と関心を持ち、日常的に相手の立場に立って考える習慣を身につければ、普通に手に入れることができるものです。

 大事なのは、自己中心的な考え方を控えることと、相手に対して必要以上に自己主張をしないことです。

 相手の話を聞く際には、次の五つの注意点を意識することが大切です。
 
【注意点1】相手の話を「なぜ?」という視点で聞く
【注意点2】意見が違っても最後まで耳を傾ける
【注意点3】話の先を急がせない
【注意点4】好奇心を持ち、相手の立場で考える
【注意点5】疑問点は話が終わってからまとめて聞く

 どんなに真剣に相手の話に耳を傾けたとしても、意外に多くの人が、話の途中で自分の意見を言い出したり、疑問点を指摘することによって、相手の言いたいことを中途半端に終わらせてしまいます。

 それでは、相手の気分が晴れることはなく、逆にフラストレーションを抱えさせることになります。

 相手の意見が自分の考え方と違っても、話を最後まで聞き通して、その後にまとめて自分の意見を伝えた方が、相手も納得しやすくなります。

 相手の話を中断させず、きちんと最後まで話を聞くためには、適切な相槌の打ち方を知っておくことも大事な要素です。

共感を得られやすい相槌のフレーズ
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